ジョブ型社会ならではの台詞
東洋経済オンラインに、ニューヨークタイムズの記事が載っています。
http://toyokeizai.net/articles/-/30215(企業はオジサンよりも若者を雇うべきだ)
ほらみろ、アメリカでもそう言っているじゃないか、などと中年になりかけた「ワカモノのミカタ」氏は口走りそうですが、もちろん、これは日本みたいに企業が若者を好んで雇いたがる社会ではないアメリカという典型的なジョブ型社会ならではの台詞なんですね。
冒頭の小見出しが「スキルのない若者はいらない?」
ところが最近、大学を卒業したばかりのポテンシャルの高い若者を雇って育てる重要性を話すと、イライラした態度を示す経営者がいることに気がついた。・・・
つまり彼らが言いたいことはこうだ。「適切な資格がある若者なら採用数を増やしてもいいが、最近の若者には、職場の厳しい要求に応えられるスキルや知識のある人物が少なすぎる」。
近頃の若者はスキルが無いから雇えない。って、別に近頃じゃなくても、若者ってのはそういうものですが、まあ、そういう風に若者をたたくのも古代からの風習ですから。
でも、会社に入ってからスキルを身につけようとしても、
だが、彼らの願いがかなう可能性は低い。現代の企業研修の多くは、基本的なテクニカルスキルのある新入社員向けにつくられている。大学の専攻によってでないとすれば、インターンでこうしたスキルが身に付いていることが期待されている。・・・
あまりにも専門的なスキルが重視されているために、あまりにも多くの若者が、就職してスキルを学び、責任を与えられ、給料が増えていく、というプロセスをたどるチャンスを奪われている。20~24歳の失業率は11%と、全米の平均7%を大幅に上回る。
そこでこの記事の筆者は、若者は「スキルはなくても意欲は高い」と、どこか極東の国で聞いたような台詞を吐くわけです。
企業は、大学や政府が対策を講じるのを待つのではなく、若者を雇用する責任の一端を進んで担うべきだ。今こそ、スキルはないが有望な若者に研修を受けさせる試験的プログラムを導入するべきだ。・・・
専門的なスキルにこだわらなければ、自分と会社の成功のために全力を尽くすという意欲にあふれた人材がもっと見つかるかもしれない。
いや、その「スキルより意欲」って、まさに伝統的な日本型企業が中高年を毛嫌いしながらなぜスキルの無い若者を偏愛してきたかを説明する理由なんですけど。
そう、拙著『若者と労働』で詳しく説明したように、「企業はオジサンよりも若者を雇うべきだ」という言葉が意味を持つのは、現実がその正反対であるジョブ型社会なのであって、それが現実であるメンバーシップ型社会ではないのです。
ま、そういう社会では、「最近の若者には、職場の厳しい要求に応えられる意欲や熱意のある人物が少なすぎる」というぼやきに変わるのでしょうけど。
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