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2014年1月31日 (金)

集団的労使関係システムの再検討

JILPTホームページに掲載されたコラムです。

http://www.jil.go.jp/column/bn/colum0240.htm

近年、派遣法、解雇法制、非正規労働、ジョブ型正社員、労働時間規制など、労働法制をめぐる話題は目白押しです。わたくしも新聞テレビなどマスコミから解説を求められることがしばしばあります。そうした際に、これからの労働法制の課題は何でしょうか?と聞かれると、わたくしは必ず、集団的労使関係システムの在り方をめぐる問題でしょう、と答えています。現時点では政労使いずれの側においても、集団的労使関係システムそれ自体は政策課題のアジェンダには挙げられていませんが、現在議論されている様々な課題の背後にはこの問題が影を潜めているのです。

政府の研究会が提起しているのは非正規労働の均等処遇問題の関係です。たとえば「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」が2012年3月にとりまとめた報告書は、「労働契約の締結等に当たって、個々の企業で、労働者と使用者が、自主的な交渉の下で、対等の立場での合意に基づき、それぞれの実情を踏まえて適切に労働条件を決定できるよう、集団的労使関係システムが企業内の全ての労働者に効果的に機能する仕組みの整備が必要」と述べ、注釈として「集団的労使関係システムにおける労働者の代表として、ここでは、労働組合のほか、民主的に選出された従業員代表等を想定している」と書かれています。また、2011年2月の「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」報告書でも、「ドイツの事業所委員会やフランスの従業員代表制度を参考に、事業主、通常の労働者及びパートタイム労働者を構成員とし、パートタイム労働者の待遇等について協議することを目的とする労使委員会を設置することが適当ではないか」と、かなり踏み込みつつも、「ただし、日本では、一般的には労使委員会の枠組みは構築されていないことから、パートタイム労働者についてのみ同制度を構築することに関して検討が必要となろう」と述べています。

こうした問題意識を踏まえ、労働政策研究・研修機構は2011年11月から1年半にわたって「様々な雇用形態にある者を含む労働者全体の意見集約のための集団的労使関係法制に関する研究会」(座長:荒木尚志東大教授)を開催し、昨2013年7月に報告書を公表しました。そこでは、現在の集団的発言チャネルの課題解決に向けたシナリオとして、 (1) 現行の過半数代表制の枠組を維持しつつ、過半数労働組合や過半数代表者の機能の強化を図る方策、 (2) 新たな従業員代表制を整備し、法定基準の解除機能等を担わせる方策、を提示しています。本コラムと同じJILPTのサイトにPDFファイルでアップされているので、是非お読みいただきたいと思います。

過去、労働契約法制定の際には、就業規則の不利益変更や解雇の金銭解決に関わって労使委員会の活用が提起されたこともありますし、現在検討が進められている企画業務型裁量労働制の見直しについても、労使委員会という集団的枠組みの正当性が問われることは間違いありません。労働組合の組織率が低下し続ける中、労働者の利益に関わる集団的な枠組みをどのように再構築していくのか。個別政策課題を貫く中期的課題として、集団的労使関係システムの再検討が重要なアジェンダとして浮かび上がってきつつあるのです。

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