誰か『組合オルグ一代』を映画かドラマにしませんか?
昨日、午前中は生保労連でジョブ型正社員や労働時間規制の話をして、午後は日本三大オルグの一人、UAゼンセンの二宮誠さんのお話を聴きました。3時から延々6時半まで、さらにその後の懇親会で夜半まで、その武勇伝に聞き惚れる半日となりました。
二宮誠さんについては、オーラルヒストリーをいただいた時に本ブログでも取り上げていますが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-e847.html(『二宮誠オーラルヒストリー』)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/h-7bb6.html(組と組合はどう違う?)
・・・朝5時頃に戸をどんどん叩くんですね。・・・戸を開けて「何があったの」と聞くと、「会社に行ったら会社がもぬけの殻なんです」・・・「社長の家も、もぬけの殻なんですよ」
・・・「とりあえず、金目のものはみんな運べ」・・・大野繊労の委員長に「会社に黙って4トントラックを持ち出してくれ」と頼み、それに持ち出せる全ての金目のものを積み込んで、廃校になった大野郡和泉村の小学校に隠しました。それで、朝8時10分の始業時を迎えて、組合員全員を集めて報告集会を行いました。
そのうちにヤクザが出てきて、ドスを抜き、それを突きつけて「貴様ら、金目のものをどこに隠した」と威嚇するんです。会社は最後は優遇手形を乱発しているんですねそれがヤクザにまで行っているわけですよ。ほとんどただで手に入れているんでしょうけど。「これをどうしてくれる」ということでヤクザとひと揉めしました。・・・最後に「お前が指示したんだな。お前の家族を殺してやる」といって啖呵を切って帰って行きましたが。その時、わたし自身まだ独身でしたから、まさに怖いものなしでした。
あとは、退職金の組合分をどこからどうしているとかなるわけです。残されている金目のもの全てが抵当で銀行に抑えられているわけですから、要は銀行にどれだけ損してもらうかしかないんですね。・・・
それを取るために何をしたか。みんなに10円持ってきてくれと言っておきました。メインバンクは某銀行でした。みんなを並ばせたんですよ。70名くらい組合員がいました。10円で通帳を作りに並ばせて、その本店に他のお客さんの相手をすることが一切できない状態にしました。
そうしたら頭取が出てきて、始めは「こんなことは違法だ」と叫んでいました。「違法なら違法で警察を呼んだらどうだ」と言ったところ、多少押し問答はありましたが、最後は「なんとかしてくれ」と言うんです。・・・
こういうたぐいの話がいっぱい載ってるし、昨日はオーラルヒストリーにも出てこない失敗しかけた話とかもいろいろ聞けました。失敗しかけた話は結構あるようですが、失敗した話は一つもない、というのが凄いところです。
上のエントリでも言いましたが、
これは本当に褒め言葉としていうのだが、かつての労働組合の闘争はヤクザ映画と同じように描き得るほどのドラマに満ちている
というぶこめがつきましたが、いやまさしくそうです。どこか映画化しようという人いないかな。
これはほんとに、映画かドラマ化したら結構受けそうな気が。
ダンダリンが評判とってる時期だけに、組合オルグの一代記ってのもいいんじゃないか、と心ある映画人かテレビ人はいないものでしょうか。
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