海老原嗣生さんの雇用特区論@『POSSE』21号
『POSSE』21号のメイン特集の生活保護法改正と困窮者自立支援法については、すでにいくつかネット上に紹介する文章もあるので、ここではやはり本ブログでも何回も取り上げてきた雇用特区について、海老原嗣生さんと今野晴貴さんの対談から:
◆企画 雇用特区というネバーランド
「ほんとにできる? 雇用特区」 海老原嗣生(雇用ジャーナリスト)×今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
・・・
海老原:解雇特区の議論は非常に陳腐なものです。労働契約法で決まっていることは客観的合理的理由がない限り解雇してはいけないというだけのことです。解雇特区では、客観的合理的理由がなくても、就業規則に書いてさえいればクビを切れるようになる。こんなものはつくれるわけがありません。産業競争力会議は雇用の門外漢がやっている会議ですから、非常に浅い知識で、日本は解雇が難しいから、それを緩和しさえすれば経済が伸びると考えているのでしょう。・・・
この海老原さんの認識は、私が言ってきたことそのままなので、少し前までは全くその通りだったのですが、実は現時点では、産業競争力会議も規制改革会議と同じように、この問題についてはより正しい認識に近寄ってきていまして、去る12月26日の「中間整理」では、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-3489.html(産業競争力会議雇用・人材分科会中間整理)
ジョブ型の多様な正社員論に転換しています。もはや、「非常で陳腐」な「門外漢」の議論を振り回しているのは、政府部内ではなんちゃら特区の八田達夫氏くらい、後はネット上だけで受け狙いの妄言を口走る商売人くらいになりました。
むしろ、海老原さんの関心はその先で、
・・・一方、規制改革会議では、客観的で合理的な解雇がなんなのかわからないから解雇のガイドラインを作ろうという議論があります。私はこれに賛成です。ただ、その場合は脱日本型の雇用モデルを導入せよという話になると思います。・・・総合職採用を止め、職務主義で採用し、年功給を止めるという、脱日本型のモデルになると思います。日本の普通の企業でこれを行うのは無理だと思いますので、ぜひガイドラインを示してどういうものがでるのか、やってみてほしいと思います。・・・
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