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『POSSE』22号(未刊)に寄せて

Hyoshi21 さて、先日お送りいただいた『POSSE』21号の巻末(裏見返し)に、次号(22号)の特集タイトルが載っています。「追い出し部屋と世代間対立」とのこと。

これは、『POSSE』がもはや若者労働問題の雑誌を超えて、労働問題雑誌の中心になりつつあることを示しているような。

中高年が既得権にしがみついていい目を見ているから、若者はその割を食ってひどい目に遭っているのだ、というような、世代間対立を煽るだけの薄っぺらな議論とは一線を画し、若者たちの現場から問題を構造的に摘出してきたPOSSEであればこそ、その同じ目線を追い出し部屋に送り込まれる中高年たちにも投げかけることができるのだと思います。

次号の記事に期待をしながら、現時点での私なりのスケッチをしておきましょう。

中高年雇用問題とは、人件費が高くつくがゆえに、現に働いている企業から排出されやすく、排出されてしまったらなかなか再就職しにくいという問題です。これは若者雇用問題の焦点である年長フリーターと同じ位相にあります。企業がスキルのない若者向けに新卒一括採用という「入社」の入口を作ってくれているおかげで、別の入口から就職することが極めて困難になってしまうという点で、まったく同型的です。

ではなぜそうなるのか、といえば、ある種の「若者の味方」と称する論者が、これこそ中高年の既得権と批判してやまない年功的な人事処遇制度のために、企業にとって中高年を雇うことが割に合わないものになってしまうからです。だから、企業はリストラをする際には、スキルの乏しい若者よりも、ある程度仕事をこなしてスキルが上がっているはずの中高年をターゲットにしたがるわけです。

運のいい中高年はリストラされずに年功制で高い処遇を受け続けることができるのに、運悪くそこからこぼれ落ちた(落とされた)中高年は、なまじ前の会社でそれなりのいい処遇を受けていればいるほど、会社から戦力外通告を受けた者というスティグマがつきまとい、再就職することは極めて困難にならざるを得ないのです。

この構造は、考えてみれば、運のいい若者と運の悪い若者の関係とよく似ています。運のいい若者はスキルなどなくても、いやむしろ下手なスキルなどない方が喜ばれて企業に新卒で「入社」できるのに、運悪くそこからこぼれ落ちてしまった若者は、「入社」できなかったこと自体がスティグマとしてつきまとい、なかなか這い上げることができなくなる、という構図に。一言でいえば、若者であれ中高年であれ、「得」だからこそそこからこぼれ落ちると「損」する構造です。

その問題の解決の方向性はどちらにあるのか。『若者と労働』では書かなかった、「ジョブ型正社員」のもう一つの重要な意味合いがそこにあるのです。

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