フォト
2023年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            
無料ブログはココログ

« 『ホワイト企業 女性が本当に安心して働ける会社』 | トップページ | 全国津々浦々で労働法教育を »

2013年11月29日 (金)

研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律案

一昨日議員立法として国会に提出された「研究開発システムの改革の推進等による研究開発能力の強化及び研究開発等の効率的推進等に関する法律及び大学の教員等の任期に関する法律の一部を改正する法律案」の、労働契約法改正部分はこういう規定のようです。

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18501022.htm

  (労働契約法の特例)
 第十五条の二 次の各号に掲げる者の当該各号の労働契約に係る労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項の規定の適用については、同項中「五年」とあるのは、「十年」とする。
  一 科学技術に関する研究者又は技術者(科学技術に関する試験若しくは研究又は科学技術に関する開発の補助を行う人材を含む。第三号において同じ。)であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で期間の定めのある労働契約(以下この条において「有期労働契約」という。)を締結したもの
  二 科学技術に関する試験若しくは研究若しくは科学技術に関する開発又はそれらの成果の普及若しくは実用化に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の科学技術に関する試験若しくは研究若しくは科学技術に関する開発又はそれらの成果の普及若しくは実用化に係る運営及び管理に係る業務(専門的な知識及び能力を必要とするものに限る。)に従事する者であって研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約を締結したもの
  三 試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者が試験研究機関等、研究開発法人又は大学等との協定その他の契約によりこれらと共同して行う科学技術に関する試験若しくは研究若しくは科学技術に関する開発又はそれらの成果の普及若しくは実用化(次号において「共同研究開発等」という。)の業務に専ら従事する科学技術に関する研究者又は技術者であって当該試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの
  四 共同研究開発等に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の共同研究開発等に係る運営及び管理に係る業務(専門的な知識及び能力を必要とするものに限る。)に専ら従事する者であって当該共同研究開発等を行う試験研究機関等、研究開発法人及び大学等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの
 2 前項第一号及び第二号に掲げる者(大学の学生である者を除く。)のうち大学に在学している間に研究開発法人又は大学等を設置する者との間で有期労働契約(当該有期労働契約の期間のうちに大学に在学している期間を含むものに限る。)を締結していた者の同項第一号及び第二号の労働契約に係る労働契約法第十八条第一項の規定の適用については、当該大学に在学している期間は、同項に規定する通算契約期間に算入しない。

この法律でいう「科学技術」というのは、第2条に定義がありまして、

第二条  この法律において「研究開発」とは、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する試験若しくは研究(以下単に「研究」という。)又は科学技術に関する開発をいう。

と、自然科学分野のことをいうのですが、この改正案では、その第2条も改正されていて、

  第二条第一項中「除く。」の下に「第十五条の二第一項を除き、」を加え、「(以下単に「研究」という。)」を削り、・・・

この法律の他の部分と異なり、労働契約法の特例だけは人文科学のみに関わるものも含まれるということになるようです。

もとの第2条の規定振りからして、そもそも人文科学なんて代物は、自然科学と違って、研究開発力の強化とは関係ねえぞ、という発想に基づいて作られているように思われ、まあその点の評価については人によるであろうと思われますが、そのもともと相手にしていなかった人文科学なんぞという代物を、ただ労働契約法の特例で有期をコマギレで10年使えるというところだけ相手に持ってくるというあたりが、いかにも都合がよろしおますな、という感じではあります。

もともと、人文科学なんて代物、5年にしようが10年にしようが、研究開発力の強化とは関係なかったんじゃないでしょうかね、この法律の本来の趣旨からして。いや、それが正しいか間違っているかについての判断は全くするつもりはありませんけどね。

(追記)

火に油を注いでおくと、それを前提として、経済学ってのは人文科学なのか、この法律でいう本来の「科学技術」に当たるかというのは、是非仲間うちで盛大に喧嘩して欲しいところではあります。

個人的には、経済学は偉いんだぞ、ニュートン力学と同じで科学なんだぞ、とか言いたがる人だけ、5年から10年の特例にしてあげると、大変予定調和的で美しいような気が・・・。

« 『ホワイト企業 女性が本当に安心して働ける会社』 | トップページ | 全国津々浦々で労働法教育を »

コメント

こんにちは

この労働契約法の特例法ですが
労政審で議論をなされていないと思うのですが
これでいいのでしょうか?

労政審の委員から懸念が表明されたそうです。
ピョンヤンじゃない方の「労働新聞」の12月9日号によると、

http://www.rodo.co.jp/periodical/news/20131222947.php">http://www.rodo.co.jp/periodical/news/20131222947.php

労政審経ずに国会提出――研究力強化法改正案・公労使から懸念表明

厚生労働省の労働政策審議会労働条件分科会(分科会長・岩村正彦東京大学大学院教授)の公労使委員は、同分科会の審議を経ずに労働契約法の特例法が国会に提出される可能性が高まっていることに強い懸念を表明した。問題視しているのは、平成20年に自民党が議員立法で成立させた研究開発力強化法の改正案で、大学や民間研究機関の研究者に対する労契法の無期転換制度における通算契約期間を現行の5年超から10年超に延長するもの。厚労省は、特例の対象が研究員に限定されているとして、同分科会の了承を求めた。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 『ホワイト企業 女性が本当に安心して働ける会社』 | トップページ | 全国津々浦々で労働法教育を »