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2013年11月15日 (金)

金子良事名著への賛辞

13378ツイート上で、金子良事さんの『日本の賃金を歴史から考える』(旬報社)への熱い賛辞があったので、オビで推薦した人として紹介しておきますね。

https://twitter.com/Yamacha611

金子良事『日本の賃金を歴史から考える』がとても面白い。社会保障について勉強した時、現在の制度を理解するためには歴史を知ることが大切だと感じた。そして、この本を読んで、歴史を学ぶことの大切さを再認識した。帯で、濱口桂一郎氏が言うように、「日本の雇用の全体像を軸に描き出した名著」だ!

「調査であれ、理論であれ本当に優秀な現状を研究する人ならば、自分のもっている現状の問題意識と(歴史研究者の)報告との共通点照らし合わせて論点を提供するので、そこから現状研究と歴史研究の対話がはじまる」(『日本の賃金を歴史から考える』4)。そして、金子良事氏は次のようにも語る。

「現場で生きる皆さんも、実践的な問題意識をもって読んでいただければ、そこから新しい問いが生まれると思う。現実に対する問題意識と対話する意思がなければ、何も生まれない」(『日本の賃金を歴史から考える』4)。本書を読むことは、労働者である自分自身を見つめ直すことへ繋がる。

コラム⑧「絶対的な正しさと相対的な正しさ」で、金子氏は「賃金はしばしば思想をともなう」とし、次のように語る。「私は自分の正しさのみを追求するよりも、完全な正義は実現できないという前提に立って多様な考え方を数多く認識することが重要だと考える」(『日本の賃金を歴史から考える』201)

そして、「自分が正しいという結論は相手の否定に繋がり、人間関係を壊してしまう。現実に折り合いをつけながら、よりよい答えをみつけていくそういう地図を一枚でも多く手に入れたい」という文章で締め括る(『日本の賃金を歴史から考える』201)。金子良事氏のこの熱い思いがつまった一冊である。

金子良事『日本の賃金を歴史から考える』を読むことにより、まさに「よりよい答えをみつけていく地図」を一枚手に入れたと思う。職場の人にもオススメしよ(  ̄▽ ̄)

ぜひ、オススメしてください。

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コメント

どういう因縁か、この10月から連合総研に出向となり、いま金子良事さんの「名著」の普及に努めています。hamachanの応援は大変心強い限りです。この著書が金子さんにアドバイザーをお願いした連合総研の2011年度研究報告を契機とした姉妹編のようなものでもあり、DIOの次の号に以下のような紹介文を載せることになりました。

本書は連合総研が2011年度に実施し、著者がアドバイザーとして参加したプロジェクト「日本の賃金-歴史と展望-」調査報告書の姉妹編にあたる。内容は「二つの賃金」「工場労働者によって形成される雇用社会」「第一次世界大戦と賃金制度を決める主要プレイヤーの登場」「日本的賃金の誕生」「基本給を中心とした賃金体系」「雇用類型と組織」「 賃金政策と賃金決定機構」「社会生活のなかの賃金」の8章から構成されている。この構成からも明らかなように本書が織りなす図柄は、賃金を横糸としつつも広くわが国の雇用労働分野の全体像を歴史的な変遷から捉えかえしている。賃金制度は労使関係を映し出す鏡のようなものであり、その意味で本書は、わが国の労使関係あるいは雇用システムの史的展開をも照射する一面を有している。またそれのみに止まらず、著者の関心はそれぞれの時代における労働法制、雇用政策そして労働経済へと広がりを見せている。
経済学の世界においては、ややもすると賃金や雇用を無機的な変数としかみない机上の数理モデルから政策を導く手法が長く主流を占め、それが労働経済分野にも適用されることで、雇用流動化や労働規制の緩和など働く者の尊厳を損なうような政策が蔓延している。それとは好対照に著者の分析視角は労働現場の実態重視に貫かれ、一筋縄では解けない「賃金とは何か」「何故賃金が重要なのか」の問に対して丹念に史料に当たり、先行研究や史料の少ない分野にも臆さず光を当てながら、賃金の歴史の中に解を求めようと試みている。もとより本書は主流派経済学の手法を問題にしている分けではないが、賃金を基軸に経済社会の根幹をなす雇用や労使関係の実態を捉えようとする接近法を著者と共有するとき、主流派経済学における形式論理の不毛な呪縛から解放されることは間違いない。
今の時代にあって賃金についての適切な教科書となりうる書物は極めて少ない。明治期から現代に至るさまざまな賃金制度の考え方を紹介しながら、その背景にある企業の経営思想や労働者の生活観にも踏み込み、結果として構成されたそのときどきの雇用システムとの関わりも明らかにしようとしているのが本書の特徴であり、私たちが日ごろ分かったつもちになっていることや安易に前提としている事柄についても、新たな知見を与えてくれる記述が随所に散りばめられている。
ただし本書は優れた教科書ではあっても、あるべき賃金論を唱えるプロパガンダの書ではない。先人達の業績を時の流れとともに紹介しつつ、単一の一般解は示さない。例えば1950年代に始まった春闘の歴史も本書の大きなテーマのひとつだが、1960年代後半に提唱された生産性基準原理と1975年以降の春闘への適用を著者は「日本型所得政策の誕生と戦後賃金政策の終わり」と位置づけ春闘の転機とみなしている。その後実質賃金が低迷する下で1984年に佐々木孝男が生産性向上に見合った賃金引き上げを求める逆生産性基準原理を提唱したことが紹介されているが、それでは生産性向上に見合った賃金の引き上げが賃金のあるべき姿かと言えば、著者は「2000年代以降の生産性の議論が付加価値生産性になった」と、新たな今日的な課題をも提起している。本書の最終章では賃金格差の問題や生活賃金のむつかしさなどいくつかの課題が列挙されているが、あるべき解が示されている分けではない。しかし主体的に今日の賃金制度を考えようとする意志と能力のある者には、検討すべき課題と検討の前提となる素材を提供してくれる恰好の書となろう。
本書が扱っているテーマは多岐にわたるが、それぞれの項目についての叙述は、予備的な専門知識を持たない一般の読者を念頭に平易で理解しやすく、新書を手にするように気軽に親しんでもらえるものと思う。労働組合の役員はもとより、今後の労使関係を担う労使双方の当事者や雇用労働分野の研究を志す有意の人々に是非とも推奨したい一冊である。

 これで読みたいと思ってくれる人が増えますでしょうか?ところでhamachanが紹介しているコラム⑧の記述はコラム④とも関連していますね。金子さんは、賃金問題でまず壁にぶつかるのは用語の複雑さだとしたうえで、その理由として賃金が特定の賃金思想によって構築されるという性格を持っていることから、どうしてもプロパガンダや広告などによって水増しされるためだとしています。金子氏は事実認識と解釈を分けてとらえることの重要性(これは賃金問題に限りませんが)を指摘しています。私はこれを読んでJ・ロビンソン女史が『マルクス主義経済学の検討』の冒頭の方で、経済学説というものは、常にプロパガンダとして提示されると書いていたのを思い出しました。だから賃金論にしても経済学説にしても、拘らず、偏らず、囚われずという冷静で客観的な態度で全史を紹介するのは極めて困難な作業になるのでしょう。金子氏はそこに挑戦し、大方成功しているようですから、将来が楽しみですね。

早川さんとはいろんなところで接近遭遇してきましたが、今度は連合総研でお目にかかりそうですね。
早川さんの連合総研でのご活躍を祈っております。

そのDIO次号では、わたくしもシュトルムタールの『ヨーロッパ労働運動の悲劇』の紹介というにはいささか・・・な文章を寄稿しております。
こっちは、それを見て読みたいと思う人が出てくれても、岩波書店が再刊してくれないと・・・ですが・・・。

『ヨーロッパ労働運動の悲劇』からの教訓
ちょっとフライングでhamachanの原稿、拝読しました。戦間期の欧州社民政党の悲劇の話であれば、特集の趣旨はさておき、極めて今日的な意義のある書物でしょうね。ルーズベルトの時代は「アメリカ民主主義のための綱領」やTNEC(臨時全国経済委員会)におけるアルヴィン・ハンセンの証言などニュー・ディール連合の経済思想が息づいていましたから。労働組合の交渉力を強めて賃金を引き上げるというのも優れて今日的課題です(北井義久さんの持論でもありますが)。その後の衒学趣味の新古典派総合による混合経済は市場原理主義への道を掃き清めただけだし、西欧型福祉国家もサッチャー・ショックのあと第三の道という名の亜流市場原理主義に行き着いてしまった(いまドイツなどではその反省も踏まえてDie Gute Gesellschaft の議論が起こっているようですが)わけですが。まあ安倍ちゃんの積極金融財政を欧州社民張りと見るのはちょっと乱暴な気もしますが(私見については労旬9月下旬号で長広舌をふるってますのでご参照ください)、日本のエコノミストの奇怪なねじれは確かにそのとおりですね。右派について言えば、グローバル化の時代に国民経済重視というところで妙に波長が合うのでしょうか。ともあれ古書サイトではリーズナブルな価格で手に入りそうなので、読んでみたいという気になりました。

文章の最初に書いたように、ロバート・オーエン、ウェッブ夫妻と並べてシュトルムタールというのは、いささか無理があるわけですが、せっかく機会をいただいたので、思うところを自由に描かせて頂きました。

早川さん、ありがとうございます。
でも、まだ労使関係を考えるには足りないのです。
その何かが分からなければ、本当の労使関係の歴史は描けません。

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