だったら労基法の特例で良いのでは?労契法ではなく
もと資料は見当たらないので日経の記事で論評しておきますが、
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG3101E_R31C13A0000000/(研究者の有期雇用10年に延長 自民が研究開発力強化法改正案)
自民党の科学技術・イノベーション戦略調査会などの合同会議は31日、研究開発力強化法の改正案をまとめた。大学などが研究者を有期雇用できる期間の上限を従来の5年から10年に延長するほか、科学技術振興機構など3法人に対して現物出資の形で出資業務を認める。来週中に党内手続きを終え、他党にも参加を募ったうえで今国会に提出する。
改正案は労働契約法に特例を設ける。現在は、研究者らが有期契約から無期契約への変更を申し出るにあたり、2回以上の有期契約の通算期間が5年超であることが条件。改正案はこれを10年超に延長する。
有期契約期間を巡っては、5年に達する前に雇用を打ち切る「雇い止め」が問題となっている。一方、研究開発事業は一般に5年で終わらないことが多い。研究者が途中で事業を離れると研究成果にも悪影響を及ぼすことが懸念されていた。
わたしは、「研究開発事業は一般に5年で終わらないことが多い」というのはその通りだろうと思います。しかし、なんでそれが、労契法18条の特例で、「長期コマギレ雇用」を可能にしなければならないのかがよくわかりません。
いや、この日経記事の全然わかっていないタイトルに見られるように、労働契約法で定める長期コマギレ雇用の上限と、労働基準法で定める有期雇用契約そのものの上限とが、頭の中で全然整理されていない可能性もあります。
「研究開発事業は一般に5年で終わらないことが多い」から法改正が必要だというのであれば、
こちらの特例を設けるべきでしょう。一定の研究開発事業について、10年の期間の一つの有期労働契約を締結できるようにすれば、毎年毎年コマギレにして更新されるんだろうかと研究者を不安に陥れることなく、10年間安心して研究に打ち込めるし、研究機関の方も更新していないのだから無期に転換する可能性はない。
まあ、これにはこれで異論もあるかも知れませんが、少なくとも「研究開発事業は一般に5年で終わらないことが多い」という問題意識に対する対応としては、一番素直でわかりやすいはずです。
わざわざそういう素直なやり方ではなく、長期コマギレ契約にしなければならない理由が、少なくともこの記事からはわかりかねます。
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