安周永『日韓企業主義的雇用政策の分岐』の書評@大原社研雑誌
『大原社会問題研究所雑誌』(2013年9/10月号)に掲載されたわたくしの書評が同社研のHPにアップされたので、リンクしておきます。書評の対象は、安周永著『日韓企業主義的雇用政策の分岐――権力資源動員論から見た労働組合の戦略』です。
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/659-660/659-660-10.pdf
・・・以上,政治学研究書に対する書評としてはいささか外在的な批判を並べすぎたかもしれない。本稿における評者の批判の相当部分は,著者が日本の雇用政策,労働法政策を研究する上で参照した論者の議論に対してこそ向けられるべきものであり,それを本書評で並べたことはあまり適切ではなかったかもしれない。
日本においては雇用政策や労働法をめぐる政治過程を正面から分析した政治学の業績はいまだに極めて少ないし,ましてやそのテーマでどの国とでも政策決定過程を比較分析したものはほとんど見当たらない中で,著者が日韓比較を試みたことは極めて大きな意義を有することは間違いない。
ただ,雇用政策や労働法の研究からその政策過程分析に手を出してきた評者としては,権力資源動員論という分析枠組をどう考えるかといった政治学的視点からの書評はそもそも能力の範囲外であり,本稿のような書評とならざるを得なかったことをお断りしておきたい。
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