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2013年10月 8日 (火)

農業の適用除外の再検討

ご存じの通り、現在農業は労働基準法の労働時間規定が適用除外されています。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO049.html

第四十一条  この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

別表第一 (第三十三条、第四十条、第四十一条、第五十六条、第六十一条関係)
一 物の製造、改造、加工、修理、洗浄、選別、包装、装飾、仕上げ、販売のためにする仕立て、破壊若しくは解体又は材料の変造の事業(電気、ガス又は各種動力の発生、変更若しくは伝導の事業及び水道の事業を含む。)
二 鉱業、石切り業その他土石又は鉱物採取の事業
三 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
四 道路、鉄道、軌道、索道、船舶又は航空機による旅客又は貨物の運送の事業
五 ドック、船舶、岸壁、波止場、停車場又は倉庫における貨物の取扱いの事業
六 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業
七 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜産、養蚕又は水産の事業

八 物品の販売、配給、保管若しくは賃貸又は理容の事業
九 金融、保険、媒介、周旋、集金、案内又は広告の事業
十 映画の製作又は映写、演劇その他興行の事業
十一 郵便、信書便又は電気通信の事業
十二 教育、研究又は調査の事業
十三 病者又は虚弱者の治療、看護その他保健衛生の事業
十四 旅館、料理店、飲食店、接客業又は娯楽場の事業
十五 焼却、清掃又はと畜場の事業

実は、かつては林業も適用除外だったのですが、その後適用されるようになりました。

農業や畜産業が適用除外されているのは、コンメンタールでは「その性質上天候等の自然的条件に左右されるため」とされていますが、それを言うなら林業だってそうだし、建設業だってある程度までそうなのですから、本当のところはむしろ、戦後の農地改革で、農業従事者のほとんどが自作農となり、農業雇用労働者というのがほとんど存在しなくなったからではないかと推測しています。

ところが、その基盤がそろそろ揺らぎだしているようです。

規制改革会議の10月4日の会議に提示された提案というのを見ると、

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee2/131004/agenda.html

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/committee2/131004/item2-2_2.pdf

「多様化する農業法人での雇用労働への対応」という項目で、

6次産業化への取組が進むことに伴い、農業法人等の従業員が製造・加工や販売等に携わる機会が増えていることから、農業に従事しつつ製造・加工・販売等にも従事する従業員の労働基準法上の取扱いについて明確にしたガイドライン等の作成を求める。

と書かれています。

ここではガイドラインという話をしていますが、そろそろ農業・畜産業への労働時間規定の適用の是非という根本論をする時期が来ているようにも思います。

というか、実は既に農業分野への雇用労働者の就業は隠れた形で進んでいるんですね。研修・技能実習制度は元々は製造業などを想定していたのですが、今ではかなりの数が農業分野に入っていることは周知の通りで、これをそのままにしておいていいのか、というのも大きな問題であるはずなのです。入管法改正で、労働者じゃないことにはできなくなっているわけだし。

労働法分野ではまだほとんど指摘のない事項ですが、真面目に考える必要はあろうと思います。

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コメント

いつも楽しく拝見させていただいています。

私の顧客には農業分野の方がとても多く、労働時間管理などの労働基準法のみならず、労災・雇用保険法の分野においても、従来(旧来?)の制度設計による特殊な労務管理が必要です。

農業分野の特殊性(気候、天候に左右される、結、手間替えなど、地域集落の労働力の貸し借りなど)もあって、やむを得ないところもありますが、法の適用について改善するべきところはたくさんある、と思っています。

ここで取り上げていただいて、そういう情報も手にしたことはなかったものですから、大変参考になりました。

ありがとうございました。

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