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2013年10月17日 (木)

第1回経済の好循環実現検討専門チーム会議の議事要旨

去る9月24日に、わたくしも呼ばれた内閣府の「経済の好循環実現検討専門チーム」の第1回会議の議事要旨が、内閣府のHPにアップされていました。

http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/shiryou/1thgijiyoshi.pdf

議事要旨なので、大筋だけですが、大体どんな議論がされたかはわかると思います。

○吉川座長より議事の進行に続いて事務局より資料説明。

○山田調査部長のプレゼンテーション概要は以下のとおり

・デフレと賃金は強い相関関係を持っている。
・10年以上にわたり賃金が下落基調にあったのは先進国では日本だけである。
・アメリカでは、新規事業創造で価格を引き上げ、高賃金で優秀な人材を獲得するビジネスモデル、雇用は不安定。ヨーロッパでは、ブランド差別化で高価格を維持、労働組合が強いので、高賃金を高価格で吸収するビジネスモデル、副作用として高失業。
・日本は、賃金が上がらなくとも雇用が維持されればいいというビジネスモデル。
・日本の賃金下落が続いたのはビジネスモデルの違いに起因。
・日本では、バブル崩壊後の不況下、労使の関係が変化。労使とも賃金抑制・雇用維持を志向する中、春闘を通じて賃金水準を底上げする機能が消滅。
・大企業とりわけ製造業・大企業の行動様式が日本経済全体に及ぼす影響が大きく、産業別・規模別にみると、賃金の動きは大企業・製造業が他部門に先行している。
・大企業・製造業の実質生産性の上昇、付加価値生産性の低下の背景は、採算がとれないような事業を整理できていないことによる。
・事業再編を好景気時にやりやすくし、賃金が生産性に見合って上がっていくという労使の
暗黙の合意というものをもう一回復活させることが重要。
・プロフェッショナル労働市場が発達した米国では好況期には転職が活発化して賃金が上昇、企業横断的労働組合の力の強い欧州では労使交渉で賃金が上昇しているが、日本はいずれの状況にもなく、政による仕掛けづくりが必要。
・「縮小均衡」から脱出できなければ共倒れになるという、労使の危機意識共有が必要。

濱口統括研究員のプレゼンテーション概要は以下のとおり

・EUでは、制度や政策については公労使の3者で協議して決め、賃金決定は労使の2者で決定する(条約で労働社会政策については、労使団体に協議し、合意すれば指令となる仕組み。条約上で、賃金に関することは権限から除外)。
・EUでは、生産性を上回る賃金上昇の抑制が課題となってきている。
・賃金上昇を抑制しようとする経営側に対し、労働側はデフレに陥る危険性を指摘しており、日本とは逆の議論。

○事務局説明及び委員プレゼンテーションに関する意見交換

・労使自治のもとでは、デフレ脱却のための賃上げは、労組や企業からは出てこない。
・近年、個社の賃金決定において、他社の対応や物価動向の影響が弱まり、代わりに利益率等が重視されるようになっている。こうしたなか、足元の利益率の上昇にはマクロ政策が多分に寄与しており、デフレ脱却のための賃上げに向けて、政府が努力することが合理的。
・労使に、ガラス張りで議論する場を提供することは、社会に情報を行き渡らせることに繋がる。
・平均賃金の議論では、労働者の構成が重要。生活者は一人当たり賃金で考えるが、企業は時間当たり賃金で考える。実質賃金について、生活者はCPIとの関連で名目賃金を考えるが、企業は生産物の価格との相対関係で名目賃金水準を考える。
・大企業の労働分配率は2008年以降上昇している。賃金を引き上げることで、今後、労働分配率が上昇するのか、それとも、消費増加→企業収益の増加に繋がることで、労働分配率が下がるのかがポイント。
・労働分配率は景気変動を受けた循環的な動きを示す面もある。90年代に労働分配率が上昇しているのは、単に不況の影響。
・生産性は実質で考えがちであるが、賃金の原資は付加価値である点を踏まえると、名目で考えることも必要。実質の生産性の高い伸びに名目が連動しないこと、すなわち、技術で勝って事業で負けているのが日本企業の問題。
・顕在化しているニーズだけでなく、新たなニーズを創出する必要もある。
・労働の移動先がなければ労働移動はできない。移動先を示す必要がある。
・移動先を作るのは、正に企業の役割。
・サービスの生産性が高まらないのは、サービスに対する対価がきちんと支払われないため。
・生産性はモノとカネを分けて考える必要。非製造業は製造業以上にカネの伸びが低い。非製造業の生産性の向上は人減らしではなく、マーケットをどう拡大し、売り上げをどう増やすかがポイント。
・サービス業でもプロダクトイノベーションはある。例えば、鉄道事業では、付加価値ある特別列車が満員になるという事例がみられる。行列ができるラーメン屋も同様。消費者のニーズをつかむことが重要。宅急便は郵便小包があるなか、(消費者ニーズをうまくつかみ)急成長した。
・ドイツでは賃金上昇が抑制される一方で、労働時間のフレキシビリティーが高まっている。結果的にうまくいっているといわれるが、労働側が賃上げ要求を抑制したわけではない。しっかり要求し交渉した結果。
・ドイツモデルがうまくいっていると言われるのは、デュアルシステムがうまく機能することで、フランス等と比べて若者の失業が少ないから。デュアルシステムとは、労働市場に出る前に、企業等で経験を積む仕組み。通常は高校生を対象とするが、近年は進学率の上昇から専門大学生が増えている。

○最後に吉川座長より、次回の予定について連絡があった。

興味深かったのは、それぞれのプレゼンの後の議論で、サービスの生産性の話になったことです。それも、「サービスの生産性が高まらないのは、サービスに対する対価がきちんと支払われないため」というような、まさに本ブログでも論じてきた問題がこういう場できちんと議論されたことに、いささか感動しました。

この後、10月4日には2回目の会議が開かれているようで、その議事要旨もアップされています。

http://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/k-s-kouzou/shiryou/2thgijiyoshi.pdf

これを読むと、とりわけ脇田成さんのプレゼン内容が興味深いですね。

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