竹信三恵子『家事労働ハラスメント』
もと朝日新聞記者で、いまは和光大学で教えている竹信三恵子さんから『家事労働ハラスメント―― 生きづらさの根にあるもの ――』(岩波新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1310/sin_k732.html
食事の支度や後片付け,洗濯,掃除,育児に親の介護…….本来,だれもが必要とする「暮らしの営み」のはずの労働が,不公正な分配によって,どのように生きづらさや貧困を招き寄せていくのか.終わりなき「見えない労働」を担う人びとが,社会から不当に締め出されている実態に光をあて,直面する困難から抜け出す道を内外にさぐる
竹信さんが自らの経験から見つけ出したこのテーゼをさまざまな事例を使いながら展開した本です。
・・・そのころの私は、家事と育児と会社の長時間労働のはざまで、なぜこんなに働きにくいのかと悩み続けていた。悩んだあげく、私はその苦しさの根に、家事労働という仕事を、労働時間でも社会政策でもまったく考慮せず、とにかく家庭や女性に丸投げさえしておけば収まると思い込んでいる日本企業の労務管理や政府の社会政策があると思い当たった。
「そのころ」というのは1999年から2001年当時で、十数年前に雑誌に連載したものなんですね。何でそれが今頃というと、
・・・だが、出版社へ企画を持ち込むと、反応はさっぱりだった。
で、ようやくいまになって日の眼を見たということのようです。
どれも同じようなしょうもない本は山のように出るのに、こういうのは出さないというあたりが、日本の出版界なんですかね。
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