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2013年10月24日 (木)

「賃金に関する政労使協議」@『労基旬報』

『労基旬報』10月25日号に、「賃金に関する政労使協議」を寄稿しました。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo131025.html

 安倍内閣はデフレ脱却を旗印に掲げ、「異次元」の金融緩和を中心とし、「国土強靱化」などの財政支出も併せた積極的な経済政策を打ち出してきました。世界的に見ると、こうした積極的金融・財政政策を主張するのは社会民主党をはじめとした左派勢力であって、右派勢力の方が緊縮的政策を主張するのが常識ですが、日本ではなぜか経済政策における左右の対立が逆転してしまっており、このこと自体が外国人に説明するのが大変困難を感じるところです。とはいえ、諸外国でも経済政策の対立図式はそれほど固定的ではなく、景気の状況判断によって保守派がケインジアンになったり、革新派が緊縮派になったりすることもよくあります。

 とはいえ、労使の賃金交渉に手を突っ込んで、賃金を引き上げろとか引き上げるなというような話は、それが労使自治を犯すものであることからも、そう簡単に手を出せる話ではないというのが、やはり世界の常識でしょう。もっとも、オイルショック後のインフレと不況が組み合わさったスタグフレーションを収めるために、政府が労働組合に賃金の抑制を頼むということは、先進国共通にかなり見られたことも確かです。そのもっとも有名な実例が、オランダの政労使協議で合意に達したいわゆるワッセナー合意です。減税と時短と賃金抑制の三方一両損を各側が呑むことで、その後のオランダ経済の回復に大いに貢献したと評されています。

 そういう賃金抑制への介入の例はありますが、政府が労使に対してもっと賃金を引き上げろと発破をかけたなどという話は聞いたことがありません。よほど労働側寄りの社会民主主義政権でも、そこまで踏み込むことはいささか腰が引けるのではないでしょうか。それをあえて行おうとしているのが、日本の保守政権である安倍内閣だというのですから、これを外国人に説明するのはさらに困難を極めることになります。政府が介入しなければならないくらい、労働組合が賃金の引き上げを求めなくなってしまっているというのであれば、もはや理解することは困難でしょう。

 去る9月20日に安倍内閣は第1回の「経済の好循環実現に向けた政労使会議」を開催し、間接的な表現ながら経済界に賃上げを要請しました。この会議が今後どういう形で動いていくかはわかりませんが、世界の常識からするとかなり異例の政労使協議であることは間違いありません。そういう異例の事態を必要とするほど、現在の日本の労働社会のありようが異例になってしまっているということなのかも知れません。
 

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