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2013年10月 4日 (金)

法律学的にはその二つはまったく逆なんだが

もちろん、ちゃんと勉強している法学部生だったら、「解雇ルールの明確化」と称するこの二つが理論的にまったく逆であることは理解できるはずなんですが・・・、

(9月20日バージョン)

仮に裁判になった際に契約条項が裁判規範となることを法定する。

→労働契約法16条を明確化する特例規定として、「特区内で定めるガイドラインに適合する契約条項に基づく解雇は有効となる」ことを規定する。

(10月4日バージョン)

契約内容が特区本部で定めるガイドラインに適合する場合、裁判規範として尊重されるよう制度化

日本語として意味がとりにくいところもありますが、前者は法律学でいうみなし規定。つまり、実態がどうであろうが契約に書かれたとおりであると見なして法律効果を発生させるということ。事実を提示して反論することはできない。このみなし規定は当然裁判所を拘束するので、裁判所が事実認定によってひっくり返すことはできない。という趣旨にしか読めません。

一方、後者は、「制度化」の意味がやや不明ですが、要するに裁判官に「尊重してくださいませ」とお願いするだけで、みなし効果はなし。裁判官が契約条項やガイドラインを「尊重」して審理した結果、やっぱり権利濫用だよね、だから無効だよね、と言う可能性は当然ある。という風に読めます。

この法律学的にはまったく逆である内容を、まったく同じと言う人の法律学的素養についてはともかく、「尊重してくださいませ」特区ということであれば、民法第1条第3項を適用除外するという驚天動地の大革命ということにはならないようでありますな。

以上はあくまでも法制執務的観点からの話であって、労働政策上の是非論とは関係ありません。

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