『POSSE』20号の読みどころ
http://www.npoposse.jp/magazine/no20.html
特集の「安倍政権はブラック企業を止められるか?」は、今野晴貴、木下武男(2回登場)、熊沢誠、脇田滋といった各氏の論考に加えて、これは絶対見逃せない、規制改革会議雇用WGの鶴光太郎氏と今野さんの対談「労働改革の「本音」はなにか?」が必読です。
最近、今野さん始めとするPOSSEの人たちに対する、自称日本型雇用批判派の面々による誹謗中傷(私には前からですが)が繰り返されているようですが、とかくうかつな人々が、そういう日本型雇用批判という名目で欧米で普通のまともな労働者保護すらも敵視する連中と一緒くたにしがちな鶴さんらの発想が、実は極めてまっとうであることを、この対談を読まれるとよく理解することができると思います。
逆に言うと、日本型雇用を断固護持する以外に労働者保護を考えることができない人々の存在が、ある種の連中の言説をはびこらせる絶好の土壌を培養しているということもできるでしょう。
その次の「雇用改革テーマ解説」では、私も「ジョブ型正社員は解雇自由の陰謀か?」を書いています。
「厚生労働省の「ブラック企業対策」を生かすために」 今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
「安倍「労働改革」の目的と方法、その結果――日本版「労働力流動化」か、労働市場政策か」 木下武男(昭和女子大学特任教授)
「限定正社員をめぐる状況と労働組合のアジェンダ」 熊沢誠(甲南大学名誉教授)
「規制改革会議での限定正社員論とは」 脇田滋(龍谷大学教授)
「限定・無限定正社員問題と労働運動の課題」 木下武男(昭和女子大学特任教授)
「労働改革の「本音」はなにか?」 鶴光太郎(慶應義塾大学大学院教授)×今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
「「ジョブ型正社員」は解雇自由の陰謀か?」 濱口桂一郎(独立行政法人労働政策研究・研修機構統括研究員)
「ホワイトカラー・エグゼンプションないし裁量労働制拡大の目論見」 渡辺輝人(弁護士)
「労働者派遣の問題点と法改正議論の動向」 塩見卓也(弁護士)
「残業代不払の温床――「管理監督者」制度」 佐々木亮(弁護士)
「「高度外国人材」とは誰か」 五十嵐泰正(筑波大学大学院准教授)
さて、今号は第20号という区切りのいい号ということもあって、
雑誌『POSSE』5周年記念企画対談
「日本の労働問題と共に変わりつづけた5年間」
今野晴貴(NPO法人POSSE代表)×坂倉昇平(雑誌『POSSE』編集長)
というのが載っています。
それを読んでいくと
今野:しかし、最初の頃は『POSSE』はボロクソに叩かれましたね。・・・
坂倉:ネット上で当初から応援してくれてたのって、いまは本誌の常連でもある濱口桂一郎さんぐらいでしょうか。・・・
というやりとりが出てきて、あれ、そんなことあったっけ?と一瞬思いました。
このあたりですかね。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/posse.html(POSSE)
『POSSE』という雑誌の創刊号をお送りいただきました。「新たなヴィジョンを拓く労働問題総合誌」ということです。
昔は労働問題の雑誌というのは結構たくさんあったものですが、今はずいぶん少なくなってしまいました。特に、JILPTの雑誌とか、労働法の専門誌とかでない、運動系の労働問題雑誌というのはとんと見ません。そういう意味では、こういう取組は大変いいことでしょうね。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/poss-f74c.html(『POSSE』第2号)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/posse-207e.html(POSSE第3号)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/posse-fb68.html(『POSSE』第4号)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/posse-f863.html(『POSSE』第4号つづき)
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