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2013年9月19日 (木)

田奈高校のバイターン@『東京新聞』

本日の東京新聞に、本ブログでも何回も取り上げてきた神奈川県立田奈高校のバイターンの試みが結構大きく載ってます。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2013091902000128.html(進路開く「バイターン」 有給で職業体験+卒業後も支援)

高校生の就職支援で先進的な取り組みをしている高校が横浜市にある。地元企業の協力を得て生徒に有給で職業体験をさせ、卒業した後も学校側が就職を支援する「バイターン」という試みだ。生徒が無給で企業の職業体験に応募する「インターンシップ」は知られているが、専門家は「全国的にも珍しい取り組み」と評価している。

・・・大友さんは父が病気で働けず、母のパート収入で家族五人が暮らす生活保護世帯。高校時代は就職活動もせず「将来を投げていた」と振り返る。

 そんな時、高校の先生がアルバイトとインターンを合わせた造語「バイターン」の仕組みを紹介し、「このままでいいのか」と説得。幼いころから憧れていた美容院での挑戦を決意した。四カ月間の有給研修などを経て、今春から正社員に採用された。・・・

・・・バイターンの特徴は、卒業後も学校側がかかわり、就職を支援することだ。NPOで引きこもりの人を支援してきた田奈高校相談員の石井正宏さん(44)は「初めて労働年齢に達する十八歳でしっかり社会とつなげないと、新たな引きこもりを生む」と、この仕組みに自信をみせる。田奈高校への県の支援は一二年度までだが、中野和巳(かずみ)校長は「今後も続けていきたい」と意欲的だ。

 高校生のキャリア教育に詳しい労働政策研究・研修機構の堀有喜衣(ゆきえ)研究員は「初めて就職する高校生にとって、教育的な立場から接してくれる大人がいることは重要。学校が関わる試みとして意義がある」と話している。

Goodstartわたくしが監訳したOECDの『世界の若者と雇用』の監訳者あとがきで、わたしはこう書きましたが、

・・・ところで、ここまでの議論をひっくり返すようだが、日本は本当に「まず勉強、それから仕事」タイプなのだろうか。多くの高校生やとりわけ大学生がかなりの時間を「アルバイト」と呼ばれるパートタイム労働に費やしていることは周知の事実である。現実には相当程度「働きながら勉強」しているのではないのか。ところが、教育界も産業界もそれが存在しないかのごとく振る舞い、あたかも仕事をしてこなかった若者を初めて仕事の世界に送り出すかのように演じて見せているのではないか。本当は既に相当程度学習と労働が学生自身において組み合わされているにもかかわらず、社会がそれを認知しようとしていないだけではないのか。学生アルバイトという存在が教育行政からも労働行政からも継子扱いされている日本の政策情報をもとにした本書で、この問題が取り上げられていないことは当然であろう。むしろ、その像が真に日本の姿を映したものであるのかを考えるべき責務は、我々の側にあるのではなかろうか。

まさにそのアルバイトという労働と学習を学校の主導の下で組み合わせる本当の意味での日本版デュアルシステムを実現してしまっている、というところが、この仕組みのすごいところなんですね。

(参考)

http://sharecoro.com/byturn/

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コメント

>アルバイトという労働と学習を学校の主導の下で組み合わせる本当の意味での日本版デュアルシステムを実現してしまっている

大学生が在学中にするアルバイト先と、卒業後の就職先は連続しないのが普通なので、別個のものと捉えるのが自然でしょう。だから、就職面接でアルバイトについて話すとしても、リーダーシップだとかチームワークだとか人間力についてなわけで。

将来に役立つ技能が身につかず、低賃金で労働コストの抑制圧力ですらあるアルバイトってなんなのかと思います。学生の貴重な時間の、企業による買い叩き行為ですか?

最近はコンビニのアルバイトもなり手がいないのか、対人サービス業なのに日本語が不自由な中国人留学生がレジに立っていたりしますが。

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