フォト
2024年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« 『季刊労働法』秋号の様子 | トップページ | 『POSSE』20号予告 »

2013年9月13日 (金)

解雇規制は、どのような労働者のどのような利益を守るためのものなのか? by 山本陽大

JILPTホームページのコラム、今回はドイツ労働法が専門の山本陽大さんです。も少し言うと、ドイツの解雇法制、さらに詳しく言うとドイツの解雇の金銭解決制度で論文を書いていて、最近突如としてひっぱりだこですが、コラムもその流れで、

http://www.jil.go.jp/column/bn/colum0231.htm(ドイツの解雇紛争処理実務に想う)

今年の7月に現地調査のためドイツへ出張した際、時間が空いたので、現地の弁護士に勧められ、労働裁判を傍聴しに行ってみた。場所はフランクフルト労働裁判所、中央駅から歩いて10~15分ほどである。入るとエレベーターの付近に、どの法廷でどの事件が取り扱われるのか、その日のスケジュールを記した紙が張ってある。見ると解雇事件の和解手続を行う法廷があったので、傍聴席に座り見学することにした。・・・

午前中から正午過ぎにかけて6件の事件を傍聴したが、そこで筆者が目の当たりにしたのは、和解手続が極めてスピーディーに処理されてゆく様子であった。どの事件においても、裁判官(比較的若い、女性の裁判官であった。)が簡単に事実関係を確認したうえで、すぐに補償金(和解金)の支払いによる解決を当事者達に提案する。ここでの補償金額の算定について、法律上のルールはないが、実務では当該労働者の勤続年数×月給額×一定の係数(0.5~2.0、係数値は本人の年齢により変化する。)という算定式が確立しており、これに従って裁判官が電卓を叩き、金額を算出する。当事者達は、そのようにして算出された金額を前に、和解に応じるかどうかの話し合いを行うが、筆者が傍聴した6件中、1件を除いては、裁判官が提示した金額により和解が成立した(1件だけは、和解が成立せず判決手続へ移行したが、これは韓国系企業と韓国人労働者の間の解雇事件であった。)。短いものでは、1件の和解手続に15分もかかっていなかっただろう。・・・

ここから、山本さんはドイツの「法の世界」と「事実の世界」の関係について考察しつつ、日本の解雇法制の在り方について考えをめぐらせていきます。

・・・このように考えると、日本の問題点が浮かび上がってくる。日本では、労働契約法16条により解雇規制が行われているが、「それは、どのような労働者のどのような利益を守るためのものなのか?」、この点がいまひとつハッキリしていない。・・・・・・日本でも、解雇の金銭解決制度の立法化が折に触れて話題となっているが、同制度を構想する際には、「そもそも解雇規制は、どのような労働者のどのような利益を守るためのものなのか?」という問題に立ち戻って検討する必要があるのではないだろうか・・・。

山本さんはそう、「ホテルのバーでWarsteinerを飲みながら」考えたそうですが、これは多くの人が改めて考えてみるべきことでしょう。

« 『季刊労働法』秋号の様子 | トップページ | 『POSSE』20号予告 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

« 『季刊労働法』秋号の様子 | トップページ | 『POSSE』20号予告 »