日経Bizアカデミーで拙著含めて3冊書評
日経Bizアカデミー「BizCollege」に連載されている「「3冊だけ」で仕事術向上! ――奥野宣之「ビジネス書、徹底比較レビュー」」に、拙著『若者と労働』を含む3冊が取り上げられています。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20130924/366427/?ST=career&P=1(「ブラック企業」を過去に葬ろう ――過渡期の雇用環境を生き抜くための3冊)
取り上げられているのは、まずは今野晴貴さんのベストセラー『ブラック企業』です。
「若者の立場から、個々のブラック企業を告発する本」と思われがちだがそうではない。サブタイトル「日本を食いつぶす妖怪」の通り、著者のメッセージは、若者が声を上げることでブラック企業をまともな企業に変えていこう、労働者の力で働き方は変えることができる、ということだ。このあたり、慎重に読んでほしい。
そしていろいろと説明した上で、
ところで、この平和な日本に、なぜこのようなクレイジーな組織ができてしまうのか?
と問いかけ、拙著に移ります。
続いての『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』にそのヒントがある。
本書は、日本の労働社会の成り立ちや若年者の雇用問題を一から解説していく、という非常に手の込んだものだ。著者は労働省出身で、現在は独立行政法人で労働政策を研究する濱口桂一郎氏。「上の世代はずるい!」「若者は我慢が足りない!」という具合に、感情的になりがちな論説とは一線を画し、データを淡々と積み重ねて、岐路に立つ「日本型雇用」の姿を浮き彫りにしていく。
全編を通じて、軸になっているものに欧米式の「ジョブ型雇用」と日本独自の「メンバーシップ型雇用」との対比がある。
ここのところで、奥野さんは私の長い説明をこう端的にまとめてくれています。
●ジョブ型の場合
労働者「コレができます」
会社「じゃあコレだけ給料を払うよ」●メンバーシップ型の場合
労働者「すべてを捧げます!」
会社「一生面倒見てやる!」●ブラック企業の場合
労働者「採用して下さい」
会社「じゃあすべてを捧げろ!」
労働者「いつか報われるんですよね?」
会社「もちろん!(嘘)」
そして最後に森岡孝二さんの『就職とは何か』
日本では、なぜ長時間労働が「当たり前」なのか。
本書を読んでわかるのは、その原因が、一般的に思われているような日本人の勤勉さや企業文化だけではなく、法や制度といったシステムにあるということだ。
それぞれの紹介の仕方も的確で、とてもよい書評です。
(追記)
と書評されたら、またもamazonで在庫切れから絶版扱いになったようです。
http://www.amazon.co.jp/dp/4121504658
リアル書店には置いてありますので・・・。
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