ボルタンスキー&シャペロ『資本主義の新たな精神』(上)(下)
ナカニシヤ出版の酒井さんより、リュック・ボルタンスキー、エヴ・シャペロ著 三浦直希・海老塚明・川野英二・白鳥義彦・須田文明・立見淳哉訳『資本主義の新たな精神』(上)(下)をお送り頂きました。上下巻併せて800ページを超え、お値段も1万円を超える大冊です。ありがとうございます。
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ネオリベラリズムの核心に迫り、「批判」の再生を構想する
ボルタンスキーの主著、待望の完訳!
雇用の不安定化と新たな貧困、社会的排除に象徴される現代の困難な状況はいかにして生じたのか。
かつてあれほどまでに高まった資本主義に対する批判は、なぜその力を失ってしまったのか。
資本主義を支える「精神」と、それが「批判」を吸収し変容していく過程を、
マネージメント文献の詳細な調査をもとに明らかにし、
資本主義が引き起こす破壊に立ち向かうための「批判」の再生を構想する、
フランス社会学の泰斗リュック・ボルタンスキーの主著、待望の完訳。
上巻では、60年代から70年代の批判を吸収した「資本主義の新たな精神」の形成過程を明らかにし、
それが労働の場面でもたらす破壊的影響について論じる。
実を言うと、この本の英訳『The new spirit of capitalism』(グレゴリー・エリオット訳)をJILPT図書館で見つけ、ぱらぱらめくって、すげぇ面白そう・・・と思いながら、こんなの読み出した日には他の仕事ができなくなってしまうと思って、気がつかなかったことにしてそのままさりげなく本棚に戻したてなことがありました。欧文は日本語より時間消費的なので、EU、OECD、ILOなどの実務的政策文書以外は原則として読まないようにしています。
それが邦訳として送られてきたのは、これはじっくりと腰を据えて読めという神様のお告げなのでありましょう。
どんな風に「すげぇ面白そう」かは、この上巻と下巻の目次を一瞥すれば共有されるはずです。
日本語版への序文
謝辞
プロローグ
一般的序論――資本主義の精神および批判の役割について
一 資本主義の精神
二 資本主義とその批判
第一部 新たなイデオロギー的布置の出現
第一章 九〇年代のマネージメントの言説
一 資本主義の精神に関する情報源
二 六〇年代から九〇年代にいたるマネージメントの問題設定の進化
三 動員=可動化の形態の変化
結論――批判に応えるものとしての新たなマネージメント
第二章 プロジェクトによる市民体(シテ)の形成
一 プロジェクトによる市民体
二 プロジェクトによる市民体の独自性
三 ネットワーク型表象の一般化
結論――資本主義の新たな精神が道徳の面にもたらした変化
第二部 資本主義の変容と批判の武装解除
第三章 一九六八年、資本主義の危機と再生
一 批判の時代
二 批判に対する反応と応答
結論――資本主義の刷新における批判の役割
第四章 労働の世界の脱構築
一 関連する変容の広がり
二 労働の変容
補遺
1 使用されたマネージメントのテクストの特性
2 マネージメントの資料体の原典テクスト一覧
3 マネージメントのテクストの包括的な統計的印象
4 二つの資料体におけるさまざまな「市民体」の相関的現前
原注
訳者あとがき
索引第二部 資本主義の変容と批判の武装解除(承前)
第五章 労働の世界における防衛手段の弱体化
一 組合離れ
二 社会階級の疑問視
三 確立された試練に対する移動の成果
結論――批判の終焉?
第三部 資本主義の新たな精神と批判の新たな形態
第六章 社会的批判の再生
一 社会的批判の覚醒――排除から搾取へ
二 結合主義的正義の諸装置に向けて?
結論――権利の場所
第七章 芸術家的批判の試練
一 不安の顕在化
二 いかなる解放か
三 いかなる真正性か
四 非真正性批判の無力化とその妨害効果
結論――芸術家的批判の再活性化?
結論 批判の力
一 変化モデルの公理系
二 資本主義の精神の変化の諸段階
追記 運命論に抗う社会学
原注
参考文献
訳者解説
索引
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