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2013年8月25日 (日)

マシナリさんの拙著書評+α

Chukoマシナリさんが拙著『若者と労働』に突っ込んだコメントをされています。

http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-578.html(誰のための「若者と労働」?)

「誰のための・・・」というのは、こういう趣旨です。

・・・本書で示されている「若者と労働」をめぐる諸問題は、特にhamachanブログの愛読者にとっては目新しい内容があるわけではありません。それでも新書としてまとめられたおかげで、歴史や制度の筋道の見通しがかなりすっきりと示されていて、この問題に関心を持つ方には必読の書であることは間違いないと思います。問題は、「この問題に関心を持つ方」というのは誰なんだろうかという点でして、実を言えば、この点ではroumuyaさんの感想に近いことを感じてしまいました。・・・

・・・

この本を読んでしっかりと若者と労働について認識を改めて実践するべきは、堅く言えば使用者側、ぶっちゃけて言えば「メンバーシップ型」の雇用にどっぷりと浸かってしまった大人の側ではないかと思います(的確な現状認識が求められる立場の論者に限って、この本も読まずに俺様理論を開帳し続けるという徒労感満載な展開が予想されてしまうところがアレですが)。その一方で、これからその世界に浸かってしまう若者にとっては、予防線として知るべき知識ではあっても、現時点では残念ながら実践すべき知識ではないだろうとも思います。

これは、ある意味で大変本質的な突っ込みです。

マシナリさん自身の言葉でいえば、

・・・こうした問題を的確に認識し、問題提起を行う若者はほぼ例外なく就活に苦労しているようです。メンバーシップ型の「入社」でなければ日本のほとんどの会社に就職できないために、鍛えようのない「人間力」を重視され「即戦力」を期待されてしまうという就活の現実は、確かに若者にとって多くの矛盾を含むものではあります。しかし、その就活に直面している若者がそれを「抗うべき現実」と考えてしまうと、「メンバーに相応しくない」として「入社」そのものができなくなってしまうというジレンマに陥ってしまうわけです。

というジレンマですね。

ただ、これは本書を、メンバーシップ型の現実を今直ちに「抗うべき現実」と考えて実行に移すべしというメッセージと捉えればそうですが、そういう無謀なことを呼びかけているつもりはありません。むしろ、今日の変形したメンバーシップ型シューカツを「心の底から完全に順応すべき現実」と考えて無意味な「自己分析」などに振り回されている若者に、距離を置いてものを考えるよすがになれば、という程度のものに過ぎません。

マシナリさんの言われるとおり、主として読んで欲しいのは「「メンバーシップ型」の雇用にどっぷりと浸かってしまった大人の側」なんですが、認知的不協和をもたらすであろう人ほどそういうのは読まないというのが世の鉄則ではありますね。

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コメント

ご紹介いただきありがとうございました。本書の内容からやや外れた内容となったつもりでしたが、「ある意味で大変本質的な突っ込み」とご紹介いただいてしまい、大変恐縮しております。

> 今日の変形したメンバーシップ型シューカツを「心の底から完全に順応すべき現実」と考えて無意味な「自己分析」などに振り回されている若者に、距離を置いてものを考えるよすがになれば、という程度のものに過ぎません。

私もまさにこの点が重要だと思うところでして、拙ブログのエントリとは一見矛盾してしまいますが、問題点を的確に捉えて、将来の「「メンバーシップ型」の雇用にどっぷりと浸かってしまった大人」を減らしていくことが重要なのだろうと思います。そのためにはやはり、本書で指摘されるような「学校教育とりわけ高校や大学における労働教育を強化し、共通の職業基礎教育の一環として明確に位置付け、十分な時間をとって実施する」ことを地道に進めていく必要があると思います。本書がそのための必読書として広く読まれることを期待しております。

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