日経新聞社説の見当外れ
日経新聞が昨日朝刊の社説「派遣で働く人たちが使いやすい制度を」で、今月出された厚労省の派遣研究会報告を批判していますが、いささか見当外れの感があります。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58963660X20C13A8EA1000/
この報告書の眼目は、今までのインチキとごまかしに満ちた「専門26業務」か否かによる規制区分を改め、派遣労働者の雇用契約が無期か有期かによって区分しようとするのが中心ですが、そのそもそものところで、依然として
通訳や秘書など「専門26業務」
などと寝ぼけたことを言っています。そんな本当の専門業務など「専門26業務」の中のごく一部に過ぎないことなど常識でしょう。
「専門26業務」と称するものの中心が事務用機器操作やファイリングなど一般事務職として最低限の技能でしかなく、それゆえに民主党政権下での適正化プラン通達で派遣業界が痛い目に遭ったという経緯が、そしてそれゆえにそれまでインチキを黙って受け入れていた派遣業界がその見直しを訴えるようになってきたという経緯が、日経新聞の論説委員の方には全然見えていないようです。
http://www.jassa.jp/information/detail.php?mode=detail&id=831(田村 厚生労働大臣に「労働者派遣制度の在り方についての要望書」を提出 )
派遣期間の制限を業務から労働者の就労期間に変更するとともに、無期雇用者には期間制限を設けないこと、労働契約の申込みみなし、日雇派遣の原則禁止及び1年以内に離職した労働者の派遣の禁止の規定を削除するとともに、マージン率の情報公開を再検討すること、特定派遣事業を一般派遣事業と同じ規制とすることなどの制度の見直しを行うこと。
もし日経新聞の方が、専門26業務とは本当に通訳や秘書ばっかりだと思い込んでこう書いているなら、それは勉強不足だし、大部分が本当は専門業務とは言えない事務用機器操作やファイリングだとわかった上で書いているなら、インチキごまかしをそのままに維持しろと言っているに等しいことになります。
この点に関する限り、日経新聞が見当外れで、人材派遣協会の言ってることの方がまっとうだと言わざるを得ません。社説執筆者ももう少しよく勉強して欲しいですね。
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