「ジョブ型正社員」をめぐる錯綜@『労働調査』
労働調査協議会発行の『労働調査』8月号は、「「雇用制度改革」を考える」を特集していますが、
http://www.rochokyo.gr.jp/html/2013bn.html#8
特集 「雇用制度改革」を考える
1.労働規制の緩和をめぐる政府での論議経過と連合の考え方 杉山豊治(連合・雇用法制対策局長)
2.規制改革会議「雇用改革」批判 水口洋介(弁護士)
3.「ジョブ型正社員」をめぐる錯綜 濱口桂一郎(労働政策研究・研修機構・客員研究員)
4.労働者の“つながり”をどのように構築するか?-デンマークからみた雇用制度改革- 菅沼隆(立教大学経済学部・教授)
5.日本的雇用慣行の功罪と雇用制度改革の方向性 山本勲(慶應義塾大学商学部・准教授)
その中で、わたくしも「「ジョブ型正社員」をめぐる錯綜」を寄稿しております。
はじめに
ジョブ型とメンバーシップ型
ジョブ型正社員の提起
規制改革会議版「ジョブ型正社員」の本音は?
ではどうする?
以上が、ジョブ型正社員と解雇規制をめぐる現段階の状況である。理論のレベルの問題、価値判断のレベルの問題、さらには表面上の理屈と若干乖離した本音のレベルの問題とが、さまざまなアクターのさまざまな思惑の中に入り交じって、まことに錯綜しきった状態にあると言えよう。
これに対してどうするかは、本誌を読んでいる労働組合員自身が考えるべきことである。一労働問題研究者である筆者は、上記の通りその錯綜を整理した。その上で、何かを主張するとすればそれは理論のレベルではこうであるということに尽きる。
理屈はその通りだが政治的にはそれは正しくないというのも一つの判断であるし、それに基づいてさまざまな行動を組織展開していくことも一つの判断である。
ただ忘れてならないのは、政府諸会議の委員の本音がこうであるから、理屈は何であれジョブ型正社員構想はたたきつぶすという(それ自体は政治的に正しいかもしれない)判断は、とりわけ多くの若い労働者たちを出口のない隘路に追いやることになるかもしれないということである。そのリスクをきちんと認識した上での政治的判断には、筆者が口を挟むつもりはない。
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