小林美希『ルポ 産ませない社会』
小林美希さんから『ルポ 産ませない社会』(河出書房新社)をお送りいただきました。ありがとうございます。
おりから、マタニティ・ハラスメント(マタハラ)という言葉がはやり出している今日、小林さんの問題意識がページごとに叩きつけるような勢いで噴出しています。
「産めない」のではなく、社会が「産ませない」のだ。孤立する母親、妊娠解雇、ベルトコンベア化するお産、商業化し消費される妊娠……出産に前向きになれない社会に光を探す痛切なルポ。
まるで、「子どもが心配なら家で(母親が)みろ」と言わんばかりの環境が整ってはいないだろうか。
マタニティ・ハラスメント、“孤育て”、妊娠解雇、職場流産、ベルトコンベア化するお産……なぜ今、子どもを産むことに前向きになれないのか。
子育てを未だに「女性」に押しつけ続ける現実を問う、痛切なルポ。
本屋で見かけたら、まず「あとがき」に目を通してください。
雇用情勢が悪化の一途をたどり、かつてのように、職場の上司や同僚が妊娠・出産を祝ってくれるようなムードではない。むしろ、正社員・非正社員を問わず、「妊娠解雇」「職場流産」が横行するような現実だ。そうした中で、妊婦は職場でも社会でも孤立する。男性の側も、自身の雇用を守ることで精一杯。互いにハードワークが強いられ、どこか「子供」という存在や「子育て」が「別世界」のものとなってしまっていることに危機を感じた。・・・
それは取材対象だけの問題ではなかったようです。
・・・私事なので詳細は記さないが、本書『ルポ 産ませない社会』の取材途中、通常の人であれば仕事を諦めるであろう状況に筆者は置かれていた。・・・
・・・本書の執筆に当たり、どんな状況、どんな環境に産まれても、親子が健やかに過ごすことのできる社会を目指していかなければならないという想いを強くした。・・・
本書にみなぎる熱は、小林さんのそういう想いから湧き上がってきているのでしょう。
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コメント
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hamachanさま
この時期、丁度わが子の職場復帰を控えて、親子と爺さん(←私)で公立保育所入所を控えた面接に行ってきました。
その時の内容を少し掻い摘んで小生のブログに載せました。ここで紹介された小林美希『ルポ 産ませない社会』についてもコメント欄に引用させていただきました。
さて、保育現場も、昨年の適用除外(中小や労使協定での適用除外)事業場の廃止で、これまでは一旦退職し住居近くのパート勤務が圧倒的多数であった保育利用者(保護者)から、正規雇用のま短時間勤務利用者が相当多くなってきたようです。ところが保育所長の保護者に対する助言は「子供のために、(6時間より)もっと短時間勤務にしてはどうか!」というように、預ける側と預けられる側で、相当摩擦が生じているようですね。
特に埼玉県(東京近郊圏)だと、保育側の問題認識では、通勤に要する時間も問題のようです。「母親がそんな遠くに働きに出てどーすんの?」・・という感覚は、保育行政には根強いようです。
これに対し、子を預ける保護者(残念ながら母親が圧倒的ですけど・・)としては、「共働きでなきゃ食っていけないし、ここで職場辞めてどーすんの?」・・・って。
しかし、そこには利害関係人としての使用者(企業)も、制度管轄者としての厚労省も居ないんですね。
投稿: endou | 2013年6月25日 (火) 11時52分
>利害関係人としての使用者(企業)も、制度管轄者としての厚労省も居ないんですね
ここ、非常に重要な点ですね。
投稿: KK | 2013年6月26日 (水) 22時08分
KKさま ありがとうございます!
小生からすると、あたかも〝制度実施者が子を預ける労働者各人で、制度管轄者と自治体が受身〟になっている意味不明な構図に見えます。
この制度、別世界にいるのは自治体のようです。各企業は、未だ他人事の傍観者でしょうか。
投稿: endou | 2013年6月29日 (土) 22時40分
クローズアップ現代のマタハラ論争見ました。日本では先進国で唯一認めてられない男性助産師を目指してます。男性の認識を変えるには妊娠前から。出来れば性教育からだと思ってます。女性同士のマタハラは同性であるからこそと思ってます。。。。。。。。。取り急ぎ
投稿: 宝田保光 | 2013年10月 6日 (日) 23時42分