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2013年5月16日 (木)

規制改革の本丸は物理的労働時間規制の強化だ@『情報労連REPORT』5月号

2013_05『情報労連REPORT』5月号に掲載した「規制改革の本丸は物理的労働時間規制の強化だ」です。

 昨年12月に安倍政権が誕生してから、矢継ぎ早に規制改革の動きが繰り出されています。労働界は総じてその動きに批判的なようですが、筆者から見る、それとは違う重要なポイントもあります。

 労働界がもっとも懸念を表明しているのは、いわゆる解雇規制の問題であるようですが、少なくとも経済財政諮問会議と規制改革会議が提示している論点を見る限り、そこで論じられているのは、今までの無限定正社員(筆者のいう「メンバーシップ型正社員」)と非正規労働者の二極化を克服し、欧米で一般的な職務や勤務場所が限定された正社員(筆者のいう「ジョブ型正社員」)を導入することを前提として、労働者の義務が無限定なるが故に整理解雇の際にもジョブを超えた配転によって雇用維持が求められる現在の判例法理から、ジョブの範囲で雇用が守られる仕組みへのシフトであって、一部で叫ばれている「解雇自由化」とは異なる観点も含まれていると考えるべきでしょう。雇用の安定とワークライフバランスのどちらを選ぶかは、労働者の選択の問題であって、昭和オヤジ感覚だけが正しいわけではありません。

 しかしながら、その規制改革会議の論点には見過ごしにできない問題も多く並んでいます。冒頭から、企画業務型裁量労働制の対象業務・対象労働者の拡大、手続の簡素化、事務系や研究開発系に適した労働時間制度の創設等々、かつてのホワイトカラーエグゼンプションの失敗にあまり学んでいないのではないかと思われる項目が並んでいます。そして、例によって「多様で柔軟な働き方」というフレーズでそれらが正当化されています。

 しかしながら日本においては企業にとって柔軟な働き方が求められ、欧米のジョブ型労働者にはあり得ないような長時間労働を日本のメンバーシップ型正社員が甘受してきたのではないでしょうか。そして、そういうワーク・ライフ・「インバランス」な働き方と引き替えにジョブを超えた雇用の安定が与えられる日本型正社員に在り方に疑問が呈されてきているからこそ、上述のような多様な正社員の議論がなされてきているのではないでしょうか。

 その意味で、今日正社員の在り方の見直しの一環として何より求められることは、労働時間規制の緩和などではなく、これまで日本型雇用慣行への悪影響を理由にほとんど手がつけられてこなかった物理的労働時間規制を強化することだと思われます。筆者はこれまでもその第一歩として、EU型の休息時間規制(勤務間インターバル規制)を導入すべきとの論を張ってきました。

 情報労連傘下の組合は、その点で他の組合をリードしてきた実績があります。労働者にとって真に守るべき利益はなにか、男女両性、全世代の労働者の意見を踏まえて改めて議論すべき点だと思います。

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コメント

こういう寝言をいう労組は、本当にバカばかり

既にある労働時間規制をなし崩しにしている36協定や特別協定は、過半数組合か、過半数代表の同意がないとできない、同意がなければ使用者を豚箱に送れる仕組みになってます

今ある仕組みさえ活用できない労組のバカが、新しい法案ができたところで活用できるはずもない

こんな主張は、労働時間規制を知りません、と吐露している恥ずかしいこととも思ってないのでしょう

恥を知れ!と叫びたくなります

まぁMed_Lawさんほどキツイ言い方はできませんが?

正直現状を見るにつけ
「本当に守らせられんの?」
と思う訳で。

問題は運用に有るのでは?

労働時間規制がなぜ強行規定でなければならないか?

それは一企業の使用者と労働者が共犯であって、他の労働時間規制を守る企業に対する不正競争を仕掛けているからです。

企業の外部からの告発(告訴は被害者でないとできない!)があれば、労基署は粛々と検察に公判を維持できる証拠を固めて送るべきであり、被害者たる労働者もろとも企業が潰れても顧慮してはいけないのです

もし外部からの告発で職場が潰れてしまうなら、労組も気合いを入れて労働法規を守ろうとすることでしょう

親告罪であるかのような労働基準法の刑罰処理は、労使の共犯で行なわれる違反行為を助長してます

バス会社など、重大な事件が起きないと労働時間規制を掛けられないようでは、遵法会社は生き残れません

>労働時間規制がなぜ強行規定でなければならないか?
>それは一企業の使用者と労働者が共犯であって、他の労働時間規制を守る企業に対する不正競争を仕掛けているからです。

全くもって仰せのとおり、同意見です(素人ゆえ僭越ですけど)。
規制法というか、労働法の経済的側面ですね。場合によっては被害者と加害者との必要的共犯関係とも言えます。丁度、贈収賄罪と同じ構図です。

ここいら辺を、労働者もきちんと認識しないといけないと思います。長時間労働出来る恵まれた環境で自分だけ利益を得るのでなく、他の会社(一見すると外部市場経済)であっても、同じ共有地に住んでいるところの利害関係人だということだと思います。

アベノミクスは、金融を緩和し、企業の業績は向上しつつあります。

企業の業績が上向いている今こそ、雇用環境を改善するチャンスです。労働時間の上限規制を導入し、労働需給をタイトにすることで、雇用は増え、単位労働コストは上昇します。かくして、企業の業績は雇用者に還元されます。

今こそ、企業は利益を増やし、利益が雇用者に還元されるスパイラルが可能になるのです。

規制緩和の名のもとに、雇用者の労働時間を増やし、単位労働コストを抑えて企業の利益をさらに増やそうなどということはあってはなりません。雇用者をプアにしたまま、内需がないからといって海外に向かうならば、構造改革路線の円高デフレに逆戻りです。

労働時間規制は、つまるところ現場労働者ならびにその労働者を「支える」他の労働組合の連携があってはじめて可能であり、それゆえに連合、そしてその中でも情報労連の果たす役割が重要であるが故の今回の投稿なのでは?

論理だけでは現状を変革できないのは当たり前。でも、現状を変革する上での正論は必要。
正論が必要であることと、それを実現することの困難性は、少し分けて考えることが大切ではないでしょうか?実現することの困難性を打破することこそが運動であり、それが労働運動の役割です。
意外と意識の高い労組活動家多いと思うので、このような提案はとてもありがたいことだと思います。
hamachan先生にしては珍しく(?)アジっているのもGOOD!です(笑)。


良くある左巻きの観念論で苦笑してしまいます

他の組合と連携しないと出来ないような個別労働紛争とは思えません。

批判している本文の労組と同様、一律に他の企業も規制を受ける状況まで、個別労働紛争は棚上げすると言うことですね

一人でも人権侵害を受けたら代表して組合が立ち上がる義務があるのに、横並びになるまで何もしない宣言のようですが、そんな組合に会費を払うメリットは見い出せません

法に基づく正論で押さずに、何の根拠に基づき組合活動をしようと言うのでしょうかね?

赤い人達が運営する事業体が労基法を全く守ってないのは、赤い人達が労基法を知らないか、重視してないか、ご都合主義なのかの、どれか、または全部当てはまっているからなのでしょう

>良くある左巻きの観念論<・・というのは少々というか、不機嫌そうなコメントのような気がします。議論すると不機嫌になるのは大方性格もあるのでしょうが、真面目な意見であれば、それがたとえトンチンカンでも、そうではないときっちり表現すればよろしいのではないでしょうか。
尤も、>赤い人達が運営する事業体が労基法を全く守ってないのは、赤い人達が労基法を知らないか、重視してないか、ご都合主義なのかの、どれか、または全部当てはまっている<・・ええ、思い当たる節も十分ありますが、そこの議論は本エントリとは少しずれているような気がします。江戸の敵を長崎で取るような・・。

さて、労働者個人への攻撃(人権侵害)について、労働組合がどう対応するのかという問題は、Med_Lawさま仰せのとおりだと思います。古くて新しい問題です。というより、労働組合による個人潰しなどもよくあるお話ですし。
ここいら辺のお話は、残念ながら我が国の只今現在の人権レベルだということになるでしょうか。

うまく言えませんが、これは労働問題ということだけでなく、一般的な中間組織対個人の人権の問題、或いは私的クラブ内の人権の問題だという整理もできるように思います。
学校のいじめ、スポーツ界のパワハラと同じ集団的な深層心理のようなものがあるのだと思います。きっと。少なくない労働者もおそらく同質の問題で悩んでいます。

バス(観光&路線含む)関連
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1402110009/
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20140212-OYT1T00045.htm
”目撃した女性が「(運転手は)衝突前からハンドルにもたれかかるようにぐったりしていた」と話しているという。現場は見通しの良い片側1車線の直線道路で、ブレーキ痕もなかった。”

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040330-11.pdf
物理的休息時間 てびき

http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000166.html
貸切バス運賃・料金制度ワーキンググループ(第3回)の開催について

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