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2013年5月 6日 (月)

『日本の雇用終了』書評いくつか

1120501185月に入って、拙著『日本の雇用終了』に対して2人の社労士さんによる書評がアップされています。

まずは、wadamyこと和田泰明さんの「HUREC AFTERHOURS 人事コンサルタントの読書備忘録」。これは和田さんの膨大な書評サイトで、旧著『新しい労働社会』も書評していただいておりますが、今回は『日本の雇用終了』について。

http://hurec.bz/mt/archives/2013/05/1875_font_colorblue_201203.html労働法から遠い世界にある雇用終了の実情? 判例規範とは別ルールが存する「あっせん」の場の実態を示す。

労働政策研究・研修機構の編集による本ですが、実質的には同機構統括研員の濱口桂一郎氏の執筆によるものです。労働局の個別労働紛争のあっせん事例の紹介が本書の大半を占めますが、今まであまり触れられることのなかった実証的な記録であるとともに、日本の雇用社会の実態が浮き彫りにされていて興味深く読みました。・・・

と、拙著の明らかにしたことや主張していることを丁寧に説明していただき、最後に

濱口氏の本は、一般向けであっても堅めのものが多いのですが、本書は事例集なのでとっつき易く、また、著者なりの分析も簡潔明瞭で、企業規模を問わずお薦めです。

と言っていただいております。

もう一つは社労士の高井利哉さんのブログです。こちらは、解雇規制緩和論についての連続エントリの一環の中で、

http://takai-sr.blog.so-net.ne.jp/2013-05-02-1(解雇規制緩和⑥ 解雇無効の判決でも、目安の補償金を支払えば解雇できる制度の是非 [労働政策])

先日の東京大学社会科学研究所のシンポジウムの話題を語る中で、

・・・幾つかの講演の後、玄田有史教授(東京大学社会科学研究所)の司会で、パネルディスカッションが行われました。その時に、会場の参加者から、労働局の「あっせん」(個別労働紛争解決制度)の現状のついての意見が出されて、パネリストの一人であった濱口桂一郎氏が書かれた、労働局の「あっせん」制度の事例研究である「日本の雇用終了」が話題になりました。

・・・「あっせん」における解決金の水準は、この「日本の雇用終了」によって、その一部が初めて明らかにされました。

と紹介していただいております。

ちなみに、日本労働弁護団が4月23日に公表した「労働規制の緩和に反対し、人間らしい生活と労働条件の実現を求める意見書」の中でも、

http://roudou-bengodan.org/proposal/detail/post-46.php

・・・このように10年前に法制化された日本の解雇ルールであるが、特に中小企業の職場では殆ど守られておらず、多くの労働者が裁判を利用できず泣き寝入りとなっているのが実態である。増加を続ける労働相談の中でも最も多いのが解雇に関する相談であるが、妊娠をしたから解雇とか、協調性や能力がないから解雇とか、社長が気に入らないから解雇とか、理由の説明もない解雇など恣意的、理不尽な解雇が後を絶たない。平成22年度の都道府県労働局の民事上の個別労働紛争相談件数は24万件を超え、そのうち解雇に関するものが21.1%を占め最も多いが、あっせん申請まで行ったのは2400件弱に過ぎない。しかし労働局のあっせんは任意の手続きであり参加を強制できないので、事案の4割は会社側不参加で終了しており、解決に至るのは全体の3割でしかないのである(以上の実情は濱口桂一郎「日本の雇用終了」参照)。肝心の裁判については、2006年に労働審判制度がスタートしたことにより、以前に比べて裁判所を利用しやすくなったものの、それでも年間の労働裁判件数は7000件台に止まっており、日本より労働者数が少ない英独仏等の年間数十万件とは桁違いに少ない状態にある。このように、日本の解雇ルールは、法律の上で存在しながらも十分に機能していないというのが実態であり、むしろ法の支配の観点からは、泣き寝入りを防ぎもっと裁判を利用できるような制度改革やインフラ整備こそが求められているといえよう。

      このように、ただでさえ解雇ルールが守られていない中で解雇の規制緩和を行えば、底が抜けたように理不尽な解雇が横行することは必至である。解雇の金銭解決制度を  始めとした解雇ルールの規制緩和は、半世紀に及ぶ時代の変化を背景として、労使の非対等性を踏まえた利益考量の下で形成発展してきた判例の解雇権濫用法理、そして、これを労働契約法に成文化して解雇権の濫用から労働者を保護するとしてきたこれまでの解雇ルールの発展の経緯を無視するものであり、法の支配に反し時代に逆行するものであって、断じて許されてはならない。

と使っていただいております。

政策研究は、政策論議のために使っていただいてなんぼですから、こうやって使っていただけるのは嬉しいことです。

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