フォト
2025年2月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28  
無料ブログはココログ

« 今のところノンフィクションとしては現代の日本人に対して薦められるベスト | トップページ | 加茂善仁『最新判例から学ぶメンタルヘルス問題とその対応策Q&A』 »

2013年5月30日 (木)

「職業実践専門課程」は結局専修学校に

大山鳴動すらしないまま、ネズミ一匹でおわりそうですね。

http://ten.tokyo-shoseki.co.jp/news/detail.php?id=20130529165129(専修学校で高度な職業教育=14年度から新課程―文部科学省)

文部科学省は2014年度から、実践的で高度な職業教育を行う専修学校の課程を「職業実践専門課程」(仮称)として認定する方針を決めた。専修学校の質の向上を図るのが狙いで、有識者による検討委員会が近く認定制度の概要をまとめる。

 中央教育審議会(文科相の諮問機関)は10年度、実践的な職業教育の枠組みづくりについて議論、新たな学校種の創設も検討していた。しかし、大学・短大関係者から異論が出たことを受け、まず専修学校に高度な職業教育の課程を増やしていき、将来的に新学校種を創設するかどうか判断することにした。また、専修学校は小・中・高校や大学よりも教育内容の基準が緩やかで、学校によって教育水準に差があることから、一定のレベルに水準を維持するため新たな専門課程の創設を決めた。

はぁ?専修学校って、そもそも職業教育をするところでしょう。

これだけぶくぶく膨れあがりながら、依然として「職業」とは縁のないあかでみっくな存在であるかのように尊大にふんぞりかえっている偉大なる「大学」に、「職業実践的な教育に特化した枠組み」という少しは役に立ちそうなものを作ろうというのが、一昨年の2011年に、中央教育審議会が出した「「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について」という答申だったんじゃないかと勝手に思っていたのですが、そうではなかったようです。

大学の皆様は、偉いはずの大学の中に、職業実践的な高等教育機関を作るなんていうことには大変「異論」があったのでしょうね。そんな下賤なことは専修学校あたりにやらせておけ、と。

この感覚がある限り、いまや同世代人口の過半数を占める大学生たちは「職業実践的な教育」から隔離してもらえるわけです。なんとすばらしい・・・。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-5682.html(「大学」だけは「職業」と無関係な件について)

大学が多すぎるだの、いや先進諸国に比べれば少ないだの、議論が賑やかですが、問題は日本国の学校教育法という立派な法律においては、なぜか高等教育機関のうち、「大学」という名前の施設だけは、「職業」という文字がないということだという指摘は、どこからもないようですね。

・・・「大学」と称する施設がこれもそれもあれもどれも、み~~んな「学術の中心」と言うのなら、それはたしかに多すぎますけど、「職業」に必要な能力を育成することを主たる目的とする4年制の高等教育機関というのなら、別に多すぎるわけでもなく、もっとあってもいいわけですよ。

残念ながら、現行学校教育法上は、そういう存在は許されないことになっているわけですけど。

学校教育法(昭和二十二年三月三十一日法律第二十六号)

第九章 大学 

第八十三条  大学は、学術の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする。

第九十九条  大学院は、学術の理論及び応用を教授研究し、その深奥をきわめ、又は高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培い、文化の進展に寄与することを目的とする。

 大学院のうち、学術の理論及び応用を教授研究し、高度の専門性が求められる職業を担うための深い学識及び卓越した能力を培うことを目的とするものは、専門職大学院とする。

第百八条  大学は、第八十三条第一項に規定する目的に代えて、深く専門の学芸を教授研究し、職業又は実際生活に必要な能力を育成することを主な目的とすることができる。

 前項に規定する目的をその目的とする大学は、第八十七条第一項の規定にかかわらず、その修業年限を二年又は三年とする。

 前項の大学は、短期大学と称する。

第十章 高等専門学校 

第百十五条  高等専門学校は、深く専門の学芸を教授し、職業に必要な能力を育成することを目的とする。

第十一章 専修学校 

第百二十四条  第一条に掲げるもの以外の教育施設で、職業若しくは実際生活に必要な能力を育成し、又は教養の向上を図ることを目的として次の各号に該当する組織的な教育を行うもの(当該教育を行うにつき他の法律に特別の規定があるもの及び我が国に居住する外国人を専ら対象とするものを除く。)は、専修学校とする。

« 今のところノンフィクションとしては現代の日本人に対して薦められるベスト | トップページ | 加茂善仁『最新判例から学ぶメンタルヘルス問題とその対応策Q&A』 »

コメント

フィンランドのAMKとかスウェーデンのuniversity collegeみたいのが出来たら面白いと思ったのに…(・ω・`)

専修学校じゃあ学士号などの学位は取得できないしねぇ(・ω・`)職業教育には学位与えてくれないのかしら?(・ω・`)

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「職業実践専門課程」は結局専修学校に:

« 今のところノンフィクションとしては現代の日本人に対して薦められるベスト | トップページ | 加茂善仁『最新判例から学ぶメンタルヘルス問題とその対応策Q&A』 »