『世界』5月号の御案内
来週月曜日(4月8日)発売予定の雑誌『世界』5月号に、拙論文が載っております。
http://www.iwanami.co.jp/sekai/index.html
特集は「人間らしい働き方が消えていく-待ったなしの改革とは」というものですが、次のような論文が載っておりまして、
【ミクロとマクロの乖離】
「競争力の向上」と「雇用確保」を両立させるための条件 樋口美雄 (慶應義塾大学)【本当の雇用改革とは】
雇用格差の核心に迫る改革が未来を決める 中野麻美 (弁護士)【問題はアンフェア解雇】
「労使双方が納得する」解雇規制とは何か──解雇規制緩和論の正しい論じ方 濱口桂一郎 (労働政策研究・研修機構)【連合に告ぐ】
インタビュー 労働組合は生きているか 熊沢 誠 (甲南大学名誉教授)【執筆者からのメッセージ】【私たちを支える公共セクター】
公務員は「安定した仕事」なのか──臨時・非常勤等職員の雇用実態から見えてくるもの 根本 到 (大阪市立大学)【生きるために働く】
「ディーセント・ワーク・ガーディアン」を絶望させない ために 沢村 凜 (作家)【「解雇しつづける社会」へ?】
労働契約法は「改正」されたのか? 樫田秀樹 (ルポライター)【若者を使いつぶす妖怪】
ブラック企業が日本の未来を食いつぶす 今野晴貴 (POSSE代表)
ということで、私の文章の説明は:
昨年末政権交代後、今年に入り各種政策関係の会議から、矢継ぎ早に雇用労働分野における規制緩和が示されてきている。経済財政諮問会民間議員の提言「雇用と所得の増大に向けて」は、「ジョブ型のスキル労働者」を創出することを前提として、あくまでも「事業・産業構造転換に伴う労働移動等に対応するため、退職に関するマネジメントの在り方」を検討しようとしており、必ずしも解雇自由化論を打ち出しているわけではない。問題の焦点は、雇用契約の在り方と整理解雇規制の在り方の関連にある。しかし一方で、竹中平蔵氏のように、「無限定に働かされる代わりに、簡単に解雇はされない」という日本型正社員の特殊さのうち、後半の「簡単に解雇されない」だけを問題視する議論がなされている。解雇規制緩和論の何が問題なのか、事実と論理を腑分けし、的確な方向を指し示す。
ちなみに、このラインナップを見て「へぇへぇへぇ」となったのは、沢村凜さんの登場でした。
「たまたま労基官を主人公にエンタメ小説を書くことになった取材の苦手なファンタジー作家が、〈労基〉へのポジティブなイメージを膨らませるよう努めながら、乏しい情報をかきあつめる」──〈普通に働いて、普通に暮らせる〉社会をめざして、日々奮闘している「ディーセント・ワーク・ガーディアン=労働基準監督官」を描いた作家が、基本的なことを調べはじめて突き当たった疑問、「なぜ、労基官はこれほど嫌われるのか」。そして作品出版後にして実際に出会った労基官たちの姿から見えたものとは。
これは面白そう、是非読みたいですね。
参考までに、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-748a.html(本邦初の労基小説! 沢村凜『ディーセント・ワーク・ガーディアン』)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/vs-f4d1.html(厚生労働大臣vs労働基準監督官)
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