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2013年4月29日 (月)

中学校用教科書『職業指導』 について

先日、『労基旬報』に載せた「終戦直後の中学校の労働教育」をこちらにアップしましたが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-22f7.html(終戦直後の中学校の労働教育)

筆者の勤務する労働政策研究・研修機構には労働図書館という施設があり、雇用労働に関わるさまざまな書籍を収納しています。その書庫には、思いもかけない書籍や文書が眠っていることもあります。たまたま見つけたのは、文部省検定済中学校用教科書『職業指導』でした。発行は昭和22年。終戦直後です。 ・・・

これを読まれた山野晴雄さんが、ご自分のブログでほぼ同じ教科書を引きながら、より詳しい説明をされています。

http://yamatea.at.webry.info/201304/article_12.html(中学校用教科書『職業指導』)

136711980609213227204_img208_2濱口桂一郎さんが、自身のブログに「終戦直後の中学校の労働教育」というテーマで、1947(昭和22)年の文部省検定済中学校用教科書、日本職業指導協会『職業指導』の内容が紹介されています。

私が持っているのは、48年3月に修正発行されたものですが、内容的には大きな変更はないものと思います。

最後のところで、このように述べられています。私も同感です。

この教科書を読む限り、中学校で就職する人が多かった時代に、中学生に労働問題に関する知識もきちんと伝えなければならないということは、文部省(現在の文部科学省)も、教科書を編集した日本職業指導協会(現在の日本進路指導協会)も自明のこととしてとらえていたことがわかります。
しかし、濱口さんも指摘されているように、その自明性は、戦後60年余の間に雲散霧消してしまいました。今日、高校や大学で行われているキャリア教育は、正社員で就職するための「適応」の教育が中心となり、労働法や労働者の権利の教育に関しては、ごく少数の学校でしか取り組まれていません。

先週、大学の「職業指導」の授業で、この職業指導の教科書を紹介しました。
学生の1人は、次のように感想を書いていました。
「普段目にすることのない、古い職業指導の本をみられたのは有意義だった。中学生が自分の進路を一生懸命考えていたのがわかった。
現代の中学生はそんなに進路を考えることはないな、と思った。大学3年生と同じことを中学でやっていたと思うと、すごく驚く」

なお、この山野晴雄さん、長く桜華女学院高校で教鞭を執られ、今は進路指導・キャリア教育関係で活動されている方のようです。

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