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小谷敏『ジェラシーが支配する国 日本型バッシングの研究』

512小谷敏さんから『ジェラシーが支配する国 日本型バッシングの研究』(高文研)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.koubunken.co.jp/0525/0512.html

近年、メディアの報道が発端となった「生活保護〈不正受給〉バッシング」のような、実態(受給者の大半が高齢者・母子家庭・障がい者)とかけ離れた〝弱者たたき〟が日本社会に吹き荒れるようになった。

このバッシングの背景には、哲学者・ニーチェが唱えたルサンチマン(うらみ・つらみ・ねたみ・そねみ)があるのではないか? 具体例として、小泉郵政改革や橋下改革で批判の的となった公務員バッシングなど、日本社会に渦巻く「ジェラシー(ねたみ)」の噴出現象を、社会学者が徹底分析する!

ということで、今日の日本のさまざまな現象をバサリバサリと斬っていきます。

Ⅰ 日本人が最も恐れる「世間」というモンスター
Ⅱ「空気」「世間」に抗った人びと
Ⅲ「畜群」対「個人」――河野義行のたたかい
Ⅳ オウム化する日本社会――宗教学者・島田裕巳の受難
Ⅴ「非国民」を排除せよ!――イラク人質事件で起きたバッシングの異常
Ⅵ 暴走する被害者意識――北朝鮮バッシングと嫌中嫌韓
Ⅶ「小泉劇場」とは何だったのか
Ⅷ「巨大な凡庸」――光市母子殺人事件報道
Ⅸ 猛威をふるう「引き下げ民主主義」
Ⅹ「ハシズム」と「民意」はどこへ行くのか

担当編集者によると、「ねたみ」をキーワードにして、4年をかけて作り上げた本だそうです。

日本人が「熱狂」するとき、ロクなことにならないんじゃないか?
なぜ弱い者を徹底的に叩くバッシングがひんぱんに起こるのか?
バッシングが繰り返されるたびに、日本の社会がどんどん悪い方に変質していくのではないか?
バッシングの原動力になっているのは「ねたみ」ではないか?

例えば、ランドセルのメーカー・クラレが毎年実施している新一年生の保護者へのアンケートがあります。
この設問の一つ、「親の就かせたい職業」の不動の1位は「公務員」です。ところが、最近は「公務員バッシング」がことあるごとに吹き荒れます。
公務員は収入や身分が安定しているとはいえ、自分の子どもに世間の冷たい視線にさらされる職業に就かせたいという心理はどこから来るのか。

この「矛盾」を解くカギは、「ねたみ」ではないかと長年考えてきました。
そして、この「ねたみ」をキーワードにして、日本社会を切り取ったら面白い本ができるんじゃないかと思い、4年をかけて社会学者の著者と作り上げたのがこの本です。

「バッシング」を日本社会に特有の現象と考える方にぜひ読んでいただきたいと思っています。

(真鍋かおる)

どの章も面白いですが、本ブログとの関係でいえば、「Ⅸ 猛威をふるう「引き下げ民主主義」」が、阿久根のブログ市長、丸山真男をひっぱたきたい赤木智宏氏、そして生活保護叩きを扱っていて、大変アクチュアルです。

・・・自分と同じような存在であるがゆえに、少しでも恵まれた者に対しては嫉妬や羨望の気持ちが生じる。そしてよく似た者たちであるがゆえに、わずかの考え方の違いも許せなくなる。かくして、主にネット上では、窮境に置かれた若者たちの間で壮絶なバトルが展開されることになります。赤木は自らのホームページである「深夜のシマネコ」に発表した文章が注目されることで、世に出ることができました。そのホームページの掲示板の過去ログは、窮境に置かれた若者たちの相互の罵り合いによって埋め尽くされています。自分にとって身近な存在に対する正負の「相対的剥奪感」を煽り立ててゆく戦略は、「弱者同士の内ゲバ」を誘発する危険性を孕んでいます。次に見る生活保護受給者へのバッシングは、「弱者同士の内ゲバ」の最たるものと言えるでしょう。

さて、本書の「終わりに」を読むと、上の編集者「真鍋かおる」さんが登場します。真鍋さんから「このテーマで、単著をぜひお書きいただきたくお願い申し上げます」というメールをもらった小谷さんは、自分の書いた文章が美しい女性編集者によって高く評価されたというので有頂天になるのですが・・・・・、

その続きは是非本書で。

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コメント

お久しぶりでございます。小谷敏です。唐突に拙著をお送りしたにも関わらず好意的にかつユーモラスにとりあげていただき感謝にたえません。ありがとうございました。しかし、「真鍋かおるさん」とはじめて出会った時の驚きは、筆舌に尽くしがたいものがありました。今後とも様々な機会にご教示をたまわりたくお願いいたします

投稿: 小谷敏 | 2013年4月 8日 (月) 17時25分

拙ブログへお出ましいただき有り難うございます。

ここ数年来の動きに対して、実に時宜に適した出版企画であるなあ、と感心しました。

そのような企画を実現した「真鍋かおる」さんには、小谷さんの有頂天やら筆舌やらはともかく(笑)、心より経緯を評したいと思います。

投稿: hamachan | 2013年4月 8日 (月) 20時19分

ジェラシーもルサンチマンも結局自分に対する怒りでしょう。自分の中に溜まったやり場のないマグマを他人にぶつける。その対象が公務員だったり生保だったり。閉塞状況ここに極まった感があります。

投稿: RUI | 2013年4月 9日 (火) 05時12分

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