『文化大革命の遺制と闘う』
著者の一人石井知章さんより『文化大革命の遺制と闘う 徐友漁と中国のリベラリズム』(社会評論社)をお送り頂きました。有り難うございます。
http://www.shahyo.com/mokuroku/foreign/china/ISBN978-4-7845-1344-4.php
大衆動員と「法治」の破壊を特色とする現代中国政治のありようには、いまだ清算されていない文化大革命の大きな影がある。
現代中国のリベラル派知識人として知られる徐友漁氏を迎えて、北海道大学で行なわれたシンポジウムに、インタビューや論考を加えて構成。
ということで、中国のリベラル知識人徐友漁さんの報告に、鈴木賢、遠藤乾、川島真、石井知章の各氏がコメントをした北海道大学のシンポジウムの記録に、さらに徐友漁さんと石井知章さんの論文を加えてできている本です。
版元の詳細な目次があるのでコピペしておきます。
はじめに 鈴木賢
反日と結びつく毛沢東
文革の余韻ただよう現代
徐友漁という人
警察との「遭遇」
[第1部][シンポジウム]現代中国政治に対する文化大革命の影響
開会のあいさつ 鈴木賢
現代中国政治に対する文化大革命の影響 徐友漁(翻訳/徐行)
重慶─文革の再演?
「唱紅」と「打黒」
弄ばれる法
文革はなぜ支持されたか
文革の結果としての民主化運動
文化大革命の逆説
[コメント1]文化大革命の「二重性」について 遠藤乾
[コメント2]成功体験と失敗体験のあいだ 中国共産党の記憶 川島真
はじめに
1 専制・権力への問い直しとアイロニー─歴史学からの問い
2 ふたつの「民主」の交錯
3 重慶と文革の相違点─「苦難」と大衆の記憶
4 失敗体験と成功体験
5 なぜ重慶だったのか
おわりに
[コメント3]中国の「新左派」とは何か 石井知章
コメントへの応答 徐友漁
[第2部]文化大革命の遺制と闘う
文化大革命の遺制と闘う 徐友漁(聞き手・翻訳・註/鈴木賢)
文革への熱狂
拡大する暴力
正統派と造反派
どす黒い文革政治
農村の貧しさの中で
失われた信念
六四天安門事件の意味
イデオロギー統制と警察による監視
ソフトランディングは可能か?
重慶事件における新左派の役割と現代中国リベラリズムの政治思想史的位置 汪暉と徐友漁の言説を中心に 石井知章
はじめに
1 重慶事件のあらましとその政治的背景
2 「新自由主義派」と「新左派」との対立構図
3 「新左派」の旗手、汪暉とその文革をめぐる言説の問題性
4 徐友漁のリベラリズムと「新左派」批判
5 鄧小平と趙紫陽の政治改革の今日的な意味
6 天安門事件が今日に及ぼしている社会的影響
おわりに─「第三の道」としての政治改革への可能性
おわりに 鈴木賢
徐さんは高校生時代に文革を経験し、長く中国社会科学院で研究してきた方ですが、ノーベル平和賞の劉暁波氏の08憲章に署名し、その後警察から相当に嫌がらせを受けてきたということです。
例の重慶の事件を文革の再来と見る立場から、現代中国における前近代「遺制」を厳しく批判するその論調は、まことに説得力があります。
本書をお送り頂いた石井知章さんは、ご承知の通り現代中国の労働組合(工会)の研究者ですが、そこからそもそも中国社会の東洋的専制主義の根深さに研究を深めていき、最近はウィットフォーゲルの紹介をされていますね。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-71c7.html(石井知章『中国革命論のパラダイム転換』)
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