『教育の設計と社会の設計』
広田照幸さんより研究成果報告書の第2弾『教育の設計と社会の設計』をお送りいただきました。ありがとうございます。
第1弾の報告書には、わたくしも呼ばれて喋った記録も載っていますが、こちらは2012年の活動の成果で、特に興味深いのは、天野郁夫『大学の誕生』の合評会の記録と『現代社会の変化と教育システム』というシンポジウムです。
前者は、森直人さんが発題、吉田文さんと稲葉振一郎さんが報告、天野さんが著者リプライ。
後者は森直人さんの司会で、広田さんが発題、小玉重夫さんと稲葉さんが報告、さらにコメントがつき、討論があるというなかなか贅沢なものです。
その中から、話の本筋じゃないくすぐりのところだけ、ちょいと引用しておきましょうか。前者の大学論で、吉見俊哉さんの話が出たところで、
稲葉:すごく気になるのは、だからまさに、いや草莽の志士の話をしているけれども、あの人ご自身は草莽だったことは一度もないので。
-:(笑)
稲葉:むしろ現代で「草莽の志士」に対応する人というと、たとえば呉智英と浅羽道明のことが僕は念頭に浮かぶんです。彼らはずっと在野で食うや食わずでフリーライター兼大学・予備校教師をしつつ、私塾的な試みをもやっているんですね。私塾をやった結果、あの人たちが到達した結論は、現代の私塾には自意識をこじらせた馬鹿、プライドの高い社会的不適応者ばっかりがやってくるんで、草莽の結集どころかこいつらのリハビリをしなきゃいけない(笑)のが今の日本の現状だといっているわけです。そういう世界をね、吉見さんはよく知らないんじゃないか。浅羽さんの言う「教養」ってのはそういうリハビリのことですね。
と、なかなか痛烈です。
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コメント
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・・・あ、こう言う私塾知ってます。
私も行ってました。
・・・それは猫町倶楽部と言う「日本最大」を公称する読書会の事です。
https://nekomachi-club.com/
>私塾をやった結果、あの人たちが到達した結論は、現代の私塾には自意識をこじらせた馬鹿、プライドの高い社会的不適応者ばっかりがやってくるんで、草莽の結集どころかこいつらのリハビリをしなきゃいけない(笑)のが今の日本の現状だといっているわけです。そういう世界をね、吉見さんはよく知らないんじゃないか。浅羽さんの言う「教養」ってのはそういうリハビリのことですね。
全くその通りでした。
お恥ずかしいながら、私も「そういうリハビリ」受けていたことになります。
…もっとも1年半前にあまりにも酷いありさまに嫌気がさして辞めました。
私のブログに猫町倶楽部に参加した日記が書いてありますので参考になれば幸いです。
投稿: balthazar | 2024年7月26日 (金) 23時06分