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2013年4月10日 (水)

神林龍さんの「解雇規制の論点」@日経経済教室

昨日、本日と、日経新聞が経済教室で「解雇規制の論点」を載せています。昨日は労働法学者の大内伸哉さん、今日は労働経済学者の神林龍さんです。

なのですが、正直言って、労働法学者の大内さんの議論には大変違和感ばかりを感じてしまい、労働経済学者の神林さんの議論の方に遙かにシンパシーを感じてしまいました。

大内さんへの違和感はいくつもありますがとりわけ、企業が当該労働者を戦力外と判断したらそれを尊重すべきというのは、現在の無限定な働き方の下ではただのブラック企業を認めるだけだと思いますし、中小企業の適用除外も、経営上の理由による解雇についてはそもそも解雇回避努力の余地がないという割り切りがあってもいいとは思いますが、「企業が必要としない人材を抱える負担」などという貴様ぁ解雇の万能の理由を認めるのは大問題でしょう。

それに比べると、今日の神林さんの議論は、私の名前が2回も出てくるから言うわけではないですが、全体にわたって極めて納得できる議論になっていて、是非多くの人々に読んでほしいな、と思います。

・・・第1に、他の人事管理をそのままにして解雇ルールだけを変更することは実効が危ぶまれる。第2に、人事管理と解雇ルールの構築・運用には、少なくとも現在までは、基本的に当該労使間のコミュニケーションが重要であり、第三者の介入はそれほど決定的ではなかったということだ。・・・

・・・日本的雇用慣行の下で融通無碍だった労働契約の「白地性」を捨てる覚悟も必要だろう。人事管理の問題だった解雇ルールを、社会的ルールとして整備すべきかどうか検討する時期なのかもしれない。

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コメント

本来は、具体的な紛争を念頭に妥当な結論を導き出す賢慮を考えるはずの法学者が、ミクロ経済学の洗練された理論モデルがしっかりできている経済学の体系に魅力を感じ、いわば「法と経済学」にかぶれて、おかしな方向にむかってしまうということがありがちなのでは?

むしろ、優れた労働経済学者は、合理的な経済人を前提としたミクロ経済学のモデルの限界を、実証研究などから理解し、法律学の本質である「賢慮」(ユーリスプルーデンス)に近づいているということではないだろうか?

私のような元実務家からみれば大内先生も神林先生もほとんど同じ現状認識と問題意識をお持ちで、したがって視点が異なるとしても言っていることはほとんど同じのように見えます。もちろんhamachan先生にはその視点の違いは到底看過できないのでしょうが。
ところで「貴様ぁ解雇」というネーミングはなかなか印象的で秀逸ですね。ただ、従業員10人の小企業で社長の指示(それほど無茶でないもの)に対してあれこれ理由をつけて拒むことが3~4回続いたら、まあ解雇も致し方ないというか裁判所も不当としないと思うのですが、それも「貴様ぁ解雇」なんでしょうか?まあ一部で言われる「明文化」なんて無理ですよねという話でもあるのですが。

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» [日記]hamachan先生が [吐息の日々]
(4月14日追記)hamachan先生が先生の高名なブログでこの2つについてコメントされていたとのお知らせを頂戴しました。 http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-258a.html まあ、労働キャリアのhamachan先生とすればこういう反応になるのかなあ。ただ、私は... [続きを読む]

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