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特定社労士しのづかさんの『世界』論文への感想

労働者側の立場に立つ「人権派社労士」のしのづかさんが、『世界』5月号に書いた拙論「労使双方が納得する」解雇規制とは」について、次のような感想を書かれています。

私の趣旨を的確に捉えていただいていて、とてもありがたく思います。

http://sr-partners.net/archives/51890931.html(解雇規制緩和論争の本質がわかる@岩波書店「世界」5月号)

・・・最重要の記事として最も楽しみにしていた濱口桂一郎氏の「「労使双方が納得する」解雇規制とは」を,今慎重に読み終えたところです。

この記事で言われている見解は,正に私の実体験から出て来るものと同じであると申し上げておきます。

4月10日の拙ブログで,「近頃マスコミで,金銭を払えばいくらでも解雇はできるなどと浅薄な解雇規制論争が盛んですが,この特集をお読みになって,より本質を知った上で議論をなさってはいかがですか。」と書かせていただきました。

その本質がこの記事に書かれてあります。

日本の解雇規制は厳しいことはありません。特に中小企業ではバンバン解雇されています。大企業でも一部ブラック系企業は,能力不足や規律違反で簡単に解雇通告をしています。そのような被解雇者からの依頼で私は今仕事がパンパンです。

業績不振によるやむを得ない解雇なら,零細企業ではいたしかたないと私は考えています。しかし,その被解雇者の選定は,権利意識の強い者から先に解雇されていると思われる事案が多々あります。整理解雇の人選基準がないに等しく,法制化されていない弊害がもろに出ています。手続方法も法制化されていないので,事前の説明など一切なくいきなり「当社の将来が見えなくなったので解雇」とやっている。

解雇の金銭解決というのは,不当解雇だからいくらいくら支払いますので辞めてね,というのを許すという意味ではなく,労働裁判で解雇無効と判決されたときに復職しか選択がない現状に,復職ではなく月給の6カ月分や12カ月分,32カ月分の金員を支払えという判決もできるようにする,というそれだけのことです。なにも解雇基準を緩和せよという議論ではないはずです。

しかし,裁判で復帰させずに金銭支払を命ずる判決が可能になれば,裁判を提起する(される)前に,ADRの場面で頻繁にみられるように,金銭解決を提示するという解決策が取られることに拍車がかかる。

労働裁判において金銭解決の判決が可能になる,その結果,あっせんなどADRにおける解決金の基準が,今よりはるかに高くなるであろうことは容易に想像ができます。

だから,せいぜい三カ月分を払えば不当解雇でも終わらせられると考えていた中小零細企業経営者にとっては脅威であり,逆に中小零細企業の労働者にとって福音となると思うのであります。

この後半のところが、社労士としてあっせんの現場にいるしのづかさんの感覚の確かさをよく示しているように思います。

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