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BSフジプライムニュース『65歳定年時代の働き方 日本型雇用の行方とは』のログ

去る4月9日にBSフジプライムニュース『65歳定年時代の働き方 日本型雇用の行方とは』に出演したときの発言のログが同局のサイトにアップされました。

130409
塩崎恭久 自由民主党政務調査会長代理 衆議院議員、八代尚宏 国際基督教大学客員教授と、私の3人の発言が載っていますが、ここでは、私の発言部分を引用しておきます。若干誤植もあるようですが、読めば分かるので訂正しません。

話の流れ全体を見たい方は、このリンク先でどうぞ。

http://www.bsfuji.tv/primenews/text/txt130409.html

濱口氏「そもそも今日のタイトルの65歳雇用義務化というのは実は若干嘘があります。と言うのは、義務化は既に2004年にされています。小泉内閣の時の高年齢者雇用安定法の改正で65歳までの雇用が義務化されています。ただし、その時は労使協定で対象者を限定して、この人は再雇用しませんよという人を作ってもいいですというふうにしてるんですね。それは結構たくさんの人を排除しているんじゃないかというふうにおそらく思われると思います。実は定年後に継続雇用を希望したけれども、離職した方が何%いるかというと、実は2%もいないんです。1.6%です。と言うことは、既に義務化をされ、企業はその義務を1.6%を除けば既にやってるんです。従って、既に65歳まで再雇用されてるんです。頭数で言ったら7割は再雇用されています。その7割の方々は人件費的に企業が困らないように再雇用していいですとなっている。いわば応急措置としては一応できているんです。問題はむしろ中長期的にそのままでいいのかというと、それはそうではないだろう。65歳まで年功で上がってきて、悪いこともしていないのに雇用がつながるけど、給与がガクンと半分や3分の2以上に落ちてしまうということで本当にそれでいいのか。先ほど2割が辞められるというのは、そんな低い賃金ならば、私は再雇用なんてされたくないよという方も実は結構多いんですね。そういうことからすると、これは当座の解決ではあっても、長期的な解決ではない。つまり、前倒しで中高年時代の年功制までを含めて見直していく必要というものが出てくるし、そういう年功賃金制を見直していく企業に対しての促しのきっかけになるのではないか」

 反町キャスター「このデータは、規模30人以上の企業の話ですよね。30人以下の小規模な企業では守られているかわからないし、大企業と中小企業の雇用格差がどのくらいあるのかわからない。そこはどう見ていますか?」

 濱口氏「昔の数字で見ると、むしろ中小企業、零細企業は定年がない、あるいは定年があっても65歳とか、70歳とかが当たり前なんですよ。なぜかと言うと、年功制というのは大企業正社員ほど強いんですよ。中小、零細企業になればなるほど、実は払えないんですよ、中高年になってからも。欧米型のフラットな賃金というのが多いんです」

濱口氏「問題になってきている中高年問題、そして高齢者問題というのが、この日本型雇用の一番アキレス腱だと思います。逆に非常に多くの方は意外に思うかもしれませんが、若者、とりわけスキルも何も学校で身につけていない若い人が欧米だったらまず失業してしまうんですね。そういう方々が新卒一括採用という形で企業に採用されるというのは、実は若者から見ると日本型雇用の良い面なんですよ。ただ、この良い面はその裏腹として、新卒一括採用の枠がだんだん減ってくるとこぼれ落ちてしまう。そのこぼれ落ちた人が逆に欧米でこぼれ落ちた人に比べると入りにくくなるという二重のマイナスが出てくるわけです」

濱口氏「新卒一括採用というのは日本型雇用の一番メリットなところなんです。若者の失業率が非常に低いという特徴を生み出しているところなので、なかなかうかつにそこには触りにくいのですが、その中で言うとやや妥協案みたいになるんですが、徐々にジョブをハッキリさせていく。職務をはっきりさせていく。仕事に見合った賃金を払っていくというふうにだんだん持っていく必要があるだろうというふうに思います。一番矛盾が出るのが先ほど申し上げたように中高年、高齢者のところなので、そこはこの仕事をするからいくらというような形ができていると、60歳定年あるいは65歳定年ということをあまり考えずに高齢者雇用というのが割とスムーズにいくようになるのかなと思っています」

 反町キャスター「ジョブ型正社員の雇用形態にとなると生涯賃金の伸びは期待できない。そのへんは我慢しなければならない?」

 濱口氏「多くの日本人は、それでどうやって結婚し、子供を作って、教育費などを養うんだと思う。だから、子供がいればそれに対して一定の手当てを出しましょう。あるいは高校や大学を無償でやるというのは、結構ヨーロッパでは一般的なんですよね。なぜかと言うと、年齢が上がるからといって賃金が上がっていかない社会で子供を育てていこうとすると、実はそこのところを公的に賄わなければいけない。大変な皮肉ですが、前政権の時に子ども手当てとか、高校の無償化とかを、そういうビジョンがあってやっているのかなと思ったんです。素晴らしい政策だと思ったのですが、どうもやられた方々が必ずしもそう思ってはいなかったみたいなんです。だから、ダメだと言うのではなく、むしろ仕事に対する対価は対価としてきちんと払う。子供がいないところは得をして、子供がいると損をするということはあってはならないので、子供がいる人もいない人も皆が払った税金で賄っていく。日本で社会保障というと、どうしても年金だとか、医療とか、介護になるのですが、現役世代の社会保障というのは育っていく子供達をどういうふうに手当てしていくかということだと思いますね」

反町キャスター「日本の企業というのは解雇しにくいんですか?」

 濱口氏「これは非常に、腑分けして議論しないといけないんです。日本は解雇が厳しいとよくマスコミで言われるんですが、一言でいうと、そうではありません。と言うのは、労働契約法16条というのがあって、客観的、合理的な理由がなければ解雇しちゃいけないと書いてあるだけです。これと同じような規定は実はヨーロッパ諸国にもあります。ところが個々のシチュエーションで見ると、確かにヨーロッパに比べると解雇しにくいところが出てくる。それはどういうことかと言うと、形状の理由によって、もうこの仕事がなくなったという時に解雇が認められるかというと、これは確かにしにくいんですよ。なぜかというと、これは先ほど来申し上げているように、就職じゃなくて就社しているんです。つまり、IPS細胞じゃないですが、どこでもお前を回すぞという約束で雇っているんですね。と言うことは、たまたまこれがお前この仕事だといっている、その仕事がなくなったから、お前はクビだと言えるかというと、これはダメです。裁判所は、それはダメだというわけです。他に回せるところあるでしょう。難しい言葉で言うと、解雇回避努力義務って言うんですね。ヨーロッパだと、たとえば、トラベル関係の雑誌の編集者を、ローカル関係の雑誌の編集者に回すというのは、それは人事権があるから雇い続ける義務がある。しかし、それを超えるなら義務はもうないというようなことが書いてあるんですね。要するにどこまでが契約で決まったジョブかという話で、日本企業が、私はメンバーシップ型と呼んでいるのですが、そういう就社型の雇用契約をやっているが故に、自分自身で企業の解雇権というものを制限しているんです。それは言い換えれば、人事権でもってどんな仕事でもやらせられる。どこでもお前行けと言われれば、送ることができるという裏腹の関係なんです。もしそこを何とか変えていきたいというのであれば、雇用契約の在り方、就職じゃなくて就社型の雇用契約まで見直さないと、それはどこでもやりたい放題やれて、それである時にお前はクビだよと言えるということになると、これは働く側から見るととんでもないって話になっちゃいますね。解雇規制だけが突出して議論されることを私は危惧しています。雇用のあり方の見直しなしで、会社側が人事権をいくらでも行使できるという、そこを残したままで解雇規制だけが緩和されると皆思ってしまうと、逆にブラック企業を作り出すだけなんです。つまり、お前はあれやれ、これやれ、何?やらない、お前はクビだということを認めることになってしまうんですよ。順序を間違えてはいけないんです」

 八木キャスター「今回の解雇規制緩和は評価できるということですか?」

 濱口氏「それは緩和じゃないんですよ。客観的、合理的理由がないのに解雇していいという意味での解雇規制緩和は、私はあるべきでないと思うし、政府はしようとしていないと思います。しようと思っている方がいるかもしれませんが、それはできないと思います。できるのは、客観的、合理的理由は何ですが、あなたはこの仕事で雇われています。この仕事がなくなったらおしまいですねというのが客観的、合理的な理由ですね」

最後に、看板にスローガンみたいなものを書いて説明するシーンでは、

濱口桂一郎 労働政策研究・研修機構統括研究員の提言:「ジョブ型正社員で普通の職業の安定を」

濱口氏「同じような話なんですが、むしろ中身を書きました。仕事がなくても雇用が守られる正社員と、仕事があってもいつ切られるかわからない非正規社員。その二分論ではなくて、仕事がある限りはちゃんと安心して働ける、私の言うジョブ型正社員というものを作っていく必要があるんじゃないかなというのが私の提言です」

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