Tomさんの労働法研究室
拙著について、アマゾンでレビューしていただいたこともあるTomさんが「Tomの労働法研究室」というブログを始められました。
http://tomohatake.blog.fc2.com/
今のところ、新規開設の挨拶と、「混乱招く労働法改正」というエントリをアップされているだけですが、今後の展開が大変楽しみです。
自己紹介によると、
昨今の劣悪化した労働社会を憂い、もっとまともな雇用環境の実現を目指して研究しています。とは言っても、大学の研究者ではありません。よき時代の電機メーカーで人事・労務を35年間担当し、定年後は人材会社で再就職のお世話をするキャリアカウンセラー、そして直近の4年間、労働局で使用者に対して労働基準法遵守を指導する仕事をしてきました。また、これから社会へ出て行く学生さんに労働法の基礎知識を教えることが重要と考え、二年間、毎月セミナーを開催しました。大学や高等学校へ出前講義にも行きました。
これからは、労働現場で悩ましい問題に直面して困っている若い人々の相談相手にもなり、みんなが希望をもって働くことのできる社会を実現するために微力を注ぎたいと考えています。
という方です。
今のところ、中身のある唯一のエントリである「混乱招く労働法改正」では、私のブログについて、過分のご評価をいただいております。
日本的雇用慣行をどのように現実修正していくのかを考えるとき、私の考え方の根底にあるのは、労働政策研究・研修機構(JILPT)の濱口桂一郎先生である。何を考えるにあたっても、濱口先生の理論をベースに考えることにしている。濱口先生のブログは素晴らしい教科書でもある。このブログの教えから、専門書を読み自分の頭の広がりを形成していくようにしている。
今後の労働法を考えるとき、前提におかなければならないことがいくつかあるが、大事なことは三つと私は考えている。第一に、「恒常的な仕事は原則無期契約であるべき」ということ。第二に、「雇用契約は本来は『仕事』の契約であって、契約した仕事がなくなれば、雇用契約は解除されるのが普通であること。日本では仕事がなくなっても、職務変更や勤務地変更によって会社の中で雇用を維持してきたが、それは特異な雇用形態だよ。」ということ。第三に、「どのような雇用形態であれ、賃金はじめ労働条件はもう少し均衡のとれたものにする必要がある」ということです。
このような考え方に立って、これからの雇用形態はいかにあるべきかということを私なりに研究しています。
私のいわんとしていることを、誰かさんみたいに変な曲解をしたりすることなく、素直に理解していただいており、大変ありがたく思っております。
(参考)
もともと、労働法が専門ではない小生にとって、濱口先生を存じ上げたのはこの度の新書が初めてであった。頭の中のもやもやがスッキリと解消された気分である。
日本の「雇用」契約は「メンバーシップ」契約であること、そこに日本の労使関係の原点があることは同感であるし、加えて、私は日本人の中にある強い差別意識、常に自分よりも弱い立場の人間を作っておかなければ満足できないという「貧しい心」が作用しているのではないかと思っている。
私はアマチュアの心をもったプロフェッショナルが大事だと思っています。
社会人になって間もないころ、”Professional Amateur"という概念を聞き、それ以来、ずっと心の奥に大事にしていました。
濱口氏の表現は、奥深い内容を素人にも分かる平易な言葉で語ってくれる本当のプロの本です。
素人ながらこの世界に少し頭を突っ込んでいる人間にとって濱口先生の理論ほど役に立つものはない。今回の『日本の雇用終了』を入手して、今度はフォーク・レイバー・ローという概念を教わった。言ってみれば「巷の労働ルール」だ。これもなるほどと腑に落ちる。
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