ドーア先生、ベーカム派に!?
連合総研の機関誌『DIO』の280号をお送りいただきました。特集は「選挙結果が問うもの」ですが、今号で一番衝撃的なのは、
報 告 ロナルド・ドーア ロンドン大学LSE名誉フェロー講演録
です。
なんと、ドーア先生はベーシックインカム派だったのです。
講演の中で、最後のところで
そういう問題について、私は20年前から、BIEN(Basic Income European Network、今はBasic Income Earth Network)のメンバーとして、ベーシックインカムの導入を考えてきました。ベーシックインカムは、生活保護よりも少し高い給付を、18歳以上の国民全員に給付するというものです。その制度が、どれだけ働く意欲を浸食するかが1つの問題、そして、財源がもう1つの大きな問題です。
と述べ、質疑応答ではかなりそこに質問が集中していますが、
−日本で格差問題が深刻化していることは、正しいご指摘だ。その解決策として、積極的労働市場政策ではなく、何故、ベーシックインカムを提言するのか。
労働市場政策としては最低賃金の水準を上げることしかない。公共失業対策事業で雇用を創っても、それは違った意味の失業です。今、安い仕事しかできない人たちが増えているが、これは、全く新しい形の失業です。また、生活保護受給者が増大すれば、不正受給も拡大するので、連帯意識が低下するなかで、国民の反発も高まる。それを解決するにはベーシックインカムしかない。
というやりとりがなされています。最後の龍井さんのコメントでも、
イギリスの社会思想は、レイバー、いわゆる労働条件よりも仕事のあり方にずっとこだわってきた。ドーアさんの初期のものはそういう文脈で読んだものですから、今日は、その考え方を諦められて、インカムのほうに行っているのが意外でした。
と、意外感を表明していますね。
私も大変意外でした。
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