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2013年3月21日 (木)

終戦直後の中学校の労働教育

『労基旬報』3月25日号に掲載した「終戦直後の中学校の労働教育」です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo130325.html

筆者の勤務する労働政策研究・研修機構には労働図書館という施設があり、雇用労働に関わるさまざまな書籍を収納しています。その書庫には、思いもかけない書籍や文書が眠っていることもあります。たまたま見つけたのは、文部省検定済中学校用教科書『職業指導』でした。発行は昭和22年。終戦直後です。

若干背景を説明しますと、戦後新制中学校では必修教科として「職業科」を置き、農業、工業、商業、水産、家庭の諸科目と職業指導を合わせた内容でした。ところがその趣旨は理解されないままなおざりになり、1951年には職業・家庭科となり、1962年からは技術・家庭科とされ、男女別の内容になるとともに、職業指導の側面は消えてしまったのです(拙著『労働法政策』参照)。

この教科書は、中学校で職業科が教えられていた時代の貴重な証言ということになります。内容は、中学生用といえどもなかなか高度です。「われらの進路」から始まって、前半は「石炭を掘る人々」「電気を起こす人々」「製鉄所で働く人々」等々とさまざまな職業を解説していきますが、後半は「労働運動」、「働く人の健康」、「労働保護」など、労働問題の基礎知識が要領よくまとめられています。

たとえば、「労働運動」の章では、労働運動がなぜ必要なのか、何が求められているのかを的確に述べ、「殊に青少年労働者はよく組合の本質を理解し、組合の民主的精神を正しく捉え、自主・自由と放縦とを間違えることなく、立派な組合員になるように修養しなければならない」と呼びかけていますし、「労働保護」の章では、「労働者保護のための労働基準法が、真に働く人々の福祉のためのものとなるかどうかは、その運営のいかんにある。・・・この法律が真に働く人々の福祉の増進をもたらすように、私たちも協力しようではないか」と呼びかけています。

中卒で就職する者が多数派であったこの時代、彼らにそういった知識を伝えなければならないということは、当時の文部省の官僚たちにとってもあまりにも自明のことであったのでしょう。残念ながらその自明性は戦後60年余の間に雲散霧消し、今日高卒者や大卒者のための「キャリア教育」の名の下に行われ始めたものも、とりわけ労働者の権利の教育という面においては、終戦直後の文部省の意気込みには遙かに及ばないもののようです。

この教科書では各章末ごとにいくつかの課題が載せられていますが、最後の章の最後の課題はこういう問題です。言っておきますが、これは中学生用の教科書なんですよ。

「(7) 「職業の連帯性」ということを、具体例によって理解し、「社会生活と職業の連帯」という論文を書こう。」

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コメント

国立教育政策研究所のウェブサイトに、全文かどうかわかりませんが、データがありますね。

https://www.nier.go.jp/guideline/s22ejex/
学習指導要領 職業指導編 (試案)

まえがき
I 総論
II 単元
付録 相談について

上記は学習指導要領(試案)であって、教科書そのものではありませんね。申し訳ありません。

この「職業指導」に関しては、那須光章教授が「日本における職業指導・進路指導の展開」(滋賀大学教育学部紀要、1981)で、大正~昭和50年代までまとめられています。(JAIROからどうぞ。)
http://jairo.nii.ac.jp/

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