「労組活動活性化への視点」④@『生産性新聞』
『生産性新聞』2月25日号(2389号)に、私のインタビュー記事「労組活動活性化への視点」④が載っています。
これは労使関係の有識者のインタビュー連載ということで、同じテーマで毎号載っているものですが、わたくしの発言はこういうものです。私の本や文章をお読みの方には毎度おなじみの話ですが。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/jpc130225.html
西欧では、労働組合は企業の外に置かれているため、企業内の従業員代表制による労使協議が法律で義務付けられている。
これに対し日本では労使協議が法的に義務付けられていない。また、日本では労働組合が企業レベルで組織され、賃金・労働条件や労働協約の締結もほとんどすべて個別企業レベルで決められる。そのような企業別組合が、西欧の労働者代表機関とほぼ同じ機能を個別企業レベルで果たしているところに、従業員代表制法制化の問題の難しさがある。
近年、非正規労働者が増大し非組合員が増え、労使協議でカバーできる範囲は狭まっている。また、ホワイトカラー層においても役付けが増え、結果的に組合員の対象から外れる人が増大し、組織率の低下に拍車がかかっている。
産別によっては非正規労働者の組織化や中小零細企業の組織化などに成果を収めているところもあるが、それが多数派になっているかといえばそんなことはない。集団的な労使関係の枠組みから排除されている人をいかにカバーし、集団的労使関係の適用領域を拡大していくかが重要な課題である。
この問題についてはまず、労働組合が非正規労働者、中間管理職を含めた集団的な枠組みを再構築していく努力が求められる。それが難しいのであれば、それを補完する法的な仕組み作りも必要になってくる。
今、非正規労働をめぐる問題について様々な議論があるが、ここに来て、非正規労働問題の解決への道筋として、集団的労使関係システムに着目する議論が提起されている。
厚生労働省の「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」が2012年3月に取りまとめた報告書では、「職務の内容や責任の度合い等に応じた公正な処遇」を求めた上で、「労働者と使用者が、自主的な交渉の下で、対等の立場での合意に基づき、それぞれの実情を踏まえて適切に労働条件を決定できるよう、集団的労使関係システムが企業内の全ての労働者に効果的に機能する仕組みの整備が必要である」と踏み込んだ提起をしている。
戦後60年かけて作られてきた日本の集団的労使関係の現状を前提にしながら、すべての労働者が集団的な枠組みの中で、きちんとその権利を保障されるような仕組み作りが求められている。労働組合にとって、集団的労使関係のあり方を様々な角度から検討する余地がある。
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