田中萬年『「職業教育」はなぜ根づかないのか』
田中萬年さんより『「職業教育」はなぜ根づかないのか 憲法・教育法の中の職業・労働疎外』(明石書店)をお送りいただきました。
http://d.hatena.ne.jp/t1mannen/20130309/1362799863
萬年さんのブログ「職業訓練雑感」に、目次と前書きの一部が載っていますので、それを引いておきます。
はじめに
承 前 教育問題の本質
過失一 「教育勅語」の容認
過失二 学問と職業の分離
過失三 「教育を受ける権利」の盲信
過失四 「普通教育」の信奉
過失五 「平等」という個性無視
過失六 「勤労」観の尊重
過失七 「教育基本法」の矮小化
過失八 「働くこと」の御題目化
過失九 日本的雇用管理の後援
過失容疑 「キャリア教育」への幻想
改革試論 「働く」ための学習権の確立
おわりに
というのが並んでいるのを見ると、私は思い出すものがあります。それはまえがきの最後でも触れられています。
http://d.hatena.ne.jp/t1mannen/20130319/1363647463
なお、本書は二〇〇九年七月の日本学術会議「大学と職業との接続検討分科会」における報告「教育における職業的イレリバンスの十大要因」を再編・補充した内容となった。
そう、私も委員として聞いておりました萬年さんの報告です。
http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/daigaku/d-shidai03.html
大学と職業との接続検討分科会(第3 回)議事次第
日 時 平成21 年7 月7 日(火)10:00~12:00
場 所 日本学術会議 5階 5-C(2)大会議室議 題 1.講演 「教育における職業的イレリバンスの十大要因」(田中 萬年 委員)
2.講演 「日本の大卒就職の特殊性を問い直す ―QOL 問題に着目して」(本田 由紀 幹事)
3.その他
配布資料 資料1 「教育における職業的イレリバンスの十大要因」 (田中委員提出資料)(PDF)
資料2 「日本の大卒就職の特殊性を問い直す ―QOL 問題に着目して」(本田委員提出資料)
冒頭の「承前」のところで、萬年さんは私のでっち上げた言葉を捕まえてこう述べます。
・・・このような日本の教育と職業との関係について濱口桂一郎は「教育と労働の密接な無関係」と揶揄している。この言葉は今日の教育の問題を鋭く摘出している歴史に残る名言である。
・・・本書は本田のいう若者、学校、社会を分離してきた教育の問題を明らかにする。あるいは濱口桂一郎が「教育と労働の密接な無関係」と揶揄する根本を解明する。
ということで、教育勅語にさかのぼり、日本国憲法や教育基本法まで批判の標的としつつ、熱っぽく語っていきます。
(追記)
その萬年さんが、私の表現方法がひねすぎていたためでしょうが、
http://d.hatena.ne.jp/t1mannen/20130320/1363740007(「教育と労働の密接な無関係」は「でっち上げ」なのか「事実」なのか)
ただ、その「教育と労働の密接な無関係」について濱口氏は「でっち上げた言葉」と記している。これは濱口氏のテレなのか、ジョークなのか分からないが、従って不要なのかも知れないが、私にとっては新著の根幹に関わるので再確認というか、補足(?弁解)したいと思う。「でっち上げ」とは「捏造」と同義だからである。
・・・拙著は決して「でっち上げた言葉」の嘘の上塗りをしたのではなく、「教育と労働の密接な無関係」を真剣に論じているので、宜しくご批判頂きたい。
と懸念を表明されています。
そこにすでにコメントしたとおり、
もちろん、「言葉」を「でっちあげた」と言う意味です。
「内容」を「捏造」したなどという意図はありませんよ。
現実を描くのには、印象に残るような奇抜な表現が必要なときもあるので。
こういう言い方をするので、金子良事さんに「稀代の論客」などと皮肉られたりするのでしょうけど。
萬年さんにはあまりにも刺激が強すぎる表現だったようで、ご心配をおかけしてしまったようです。
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そこは素直に取って下さい笑。他意はありませんよ。
投稿: 金子良事 | 2013年3月21日 (木) 10時11分