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2013年3月 1日 (金)

藤田孝典『ひとりも殺させない』

25530060_1藤田孝典『ひとりも殺させない』(堀之内出版)をお送りいただきました。NPO法人ほっとプラスの藤田さんが、困窮する人々の実態を語るとともに、それ以上に今日的にアクチュアルなのは、片山さつき議員を始めとする生活保護バッシングの流れに対して、冷静にしかしきちんと反論し、あるべき姿を提示している本だと言うことでしょう。

生活保護の「不正受給」が批判されるなか、その急先鋒である片山さつき衆議院議員に国会で目の敵にされた、弱冠30 歳のNPO 代表の若者がいる。
貧困の最前線で生活困窮者を支援し、生活保護受給者に住まいを提供してきた彼は、生活保護の実態を熟知している。生活保護の現場で何が起きているのか? 本当にそれは「不正」なのか?
いま話題の「不正受給」問題で、決して報道されることのない事実とは?そして、本当に必要な生活保護制度改革とは何か?

というわけで、よくある言い方ですが、今こそ読まれなければならない本の代表でしょう。

この本、読み始めてすぐにとても衝撃的な場面が登場します。「はじめに」の冒頭近くです。

ここに書き写すのも苦痛なくらいの描写ですが、こういう現実から目を背けていると、生活保護というとすぐに不正受給という条件反射に陥るのでしょうから、ちょっと長いですが、引用しておきますね。

あなたは、貧困による「死」と向き合ったことがありますか。

私は、その場に立ち会ったことがあります。

夏の暑い日でした。突然、アパートの大家さんから電話がありました。部屋の中から強烈な匂いがするとのこと。このアパートの部屋には、生活困窮者の方が生活していました。私はNPOの活動で、このアパート契約の手続を支援していたのです。

急いでアパートに向かうと、部屋に入る前から、これまで経験したことのない悪臭が漂ってきます。ドアの隙間からはハエが何匹も出入りしています。

不動産屋さんが合鍵を持ってきて、慎重にドアを開きました。

待ち受けていたのは虫の嵐です。ハエの大群が勢いよく飛び出し、同時に、むせかえるような不快な匂いが、あたり一面に充満しました。

無数のハエが飛び去った後、部屋の隅に横たわっていたのは、ミイラと人間の間というような、真っ黒になった遺体でした。嘔吐物、汗や体液、便が体中から染み出して、床に広がっています、凄惨な光景でした。

そして、第1章の冒頭近くに出てくる藤田さんがホームレス支援に関わることになったきっかけの話。

・・・出会いは偶然も偶然です。アルバイトの帰りに、中年の男性に自転車でぶつかってしまったんです。

・・・帰る家がない?とっさに「え?どういうことですか」と口にした瞬間、初めて彼がホームレスだと言うことに気がつきました。

・・・出会ったその人、私は「おっちゃん」と呼んでいました-は、ホームレスになる前は、銀行の支店長をしていたと言っていました。50代半ばくらいで、私の父親と年齢がほとんど同じ。そこそこの給与を得て、家庭を持っていたそうです。

・・・彼は、家族を養うために頑張って働いていたのですが、過労気味で働いていたことが原因でうつになってしまい、そのためにリストラされてしまったそうです。・・・

その時、ふと大学で学んだ知識が思い当たり、質問をしてみました。

「だったら労災保険がありますよね。何で申請しなかったんですか」

・・・「いやそんなの理論上の話だよ。理屈上ではそうなっているけれども」

・・・「申請なんかさせてもらえない」

・・・「生活保護は、どうして請求しなかったんですか」

「窓口で、若いからって追い返されるんだよ」

これが藤田さんの活動の出発点なのですね。

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