能力不足解雇の真実
佐々木亮さんのツイート:
https://twitter.com/ssk_ryo/status/303771105078951936
能力不足の場合にいつでも解雇できる制度があれば、使用者的には、そりゃ楽だよなぁ。気にくわないやつを、能力不足として解雇しちゃえばいいんだからね。理由なんて何でも作れるし。
この点はまさにこの通り。だから、この本でもこう言っているわけです。
(2) 「能力」の曖昧性
広い意味での「態度」の重要性と対照的であるのが、雇用契約の本旨からすればもっとも典型的な雇用終了理由となるはずの「能力」の意外なまでの希薄さである。もちろん、使用者側の主張において労働者の「能力」を主たる雇用終了理由としている事案の数はそれほど少ないわけではないが、詳しくみると抽象的かつ曖昧なものが多く、具体的にどの能力がどのように不足しているかが明示されたケースはあまりない。むしろ、主観的な「態度」と客観的な「能力」が明確に区別されず、一連の不適格さとして認識されている事例が目立つ。
これは、日本の職場において求められている能力が、個別具体的な職務能力というよりは、上司や同僚との人間関係を良好に保ちつつ、職場の秩序を円滑に進めていく態度としての能力であることを物語っているといえる。もっとも、それが雇用終了の理由として堂々と通用するかどうかという点を除けば、この点は大企業の職場においても似た傾向があるともいえ、むしろ規模の大小を問わず日本の職場に共通の特徴というべきかも知れない。
私は、解雇規制の在り方については経営上の理由に基づく解雇について集団的手続規制へのシフトなど一定の改革が望ましいと考えていますし、佐々木さんとは必ずしも考えが一致するわけではありませんが、能力不足を理由とする解雇を下手に緩和したら、実は態度が気にくわないからという「貴様ぁ解雇」が(現実に結構行われていますがなおいっそう)堂々と行われるだけだと思っています。
そのあたりが、現実を知らない経済学者流の議論の危ういところだと思います。
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