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2013年2月12日 (火)

何で日本の左派なひとは「成長」が嫌いか

メモ書きとして:

ジョブ型社会では、経済成長すると、「ジョブ」が増える。「ジョブ」が増えると、その「ジョブ」につける人が増える。失業者は減る。一方で、景気がいいからといって、「ジョブ」の中身は変わらない。残業や休日出勤じゃなく、どんどん人を増やして対応するんだから、働く側にとってはいいことだけで、悪いことじゃない。

だから、本ブログでも百万回繰り返してきたように、欧米では成長は左派、社民派、労働運動の側の旗印。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-5bad.html(「成長」は左派のスローガンなんだが・・・)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-211d.html(「成長」は労組のスローガンなんだし)

メンバーシップ型社会では、景気が良くなっても「作業」は増えるけれど、「ジョブ」は増えるとは限らない。とりわけ非正規は増やすけれど、正社員は増やすよりも残業で対応する傾向が強いので、働く側にとってはいいこととばかりは限らない。

とりわけ雇用さえあればどんなに劣悪でもいいという人じゃなく、労働条件に関心を持つ人であればあるほど、成長に飛びつかなくなる。

も一つ、エコノミック系の頭の人は「成長」といえば経済成長以外の概念は頭の中に全くないけれど、日本の職場の現実では、「成長」って言葉は、「もっと成長するために仕事を頑張るんだ!!!」というハードワーク推奨の文脈で使われることが圧倒的に多い。それが特に昨今はブラックな職場でやりがい搾取するために使われる。そういう社会学的現実が見えない経済学教科書頭で「成長」を振り回すと、そいつはブラック企業の回し者に見えるんだろうね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-b066.html(決まってるじゃないか。自分の成長のためだよ!)

まあ、要すれば文脈と意味内容のずれによるものではあるんだが、とりわけ経済学頭の人にそのずれを認識する回路がないのが一番痛いのかもしれない。

(追記)

まあ、実のところ、「ニュースの社会科学的な裏側」さんのこの評言が一番的確なのかも、という気もしますが・・・。

http://www.anlyznews.com/2013/02/blog-post_13.html

さすがに経済成長を重視する人々も、不平等や外部不経済が自動的に解決すると主張する人々は少数だ。ただし、ブラック企業問題に取り組んでいるNPOに経済成長に着目しないのはセンスが悪いと高飛車に言い放ったりする経済成長万能派も現存するわけで、実証的・理論的な背景が脆弱な面もあって、特に根拠は無いのだが、左派には不愉快に思われるような気がする。つまり、左派は経済成長が嫌いなのではなく、経済成長と言う単語にうるさい人々が嫌いなのでは無いかと思われる。

いるいる。

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コメント

日本で成長というと企業利益とか供給側の強化ばっかりで、中低所得者の購買力の成長という点がスルーされとるのが問題なんでは。

自分はこれとは違う解釈をしてて、
ブラック経営者、昔なら資本家全般が
自らの財産を増やすためのものとして捉えるのではなく、
「経済成長」達成するために過剰労働が発生し、
その歪が「弱い人」に来ている。
そういう「経済成長」なら要らない。
「人が人として暮らせる社会」が良い
と言う考えから来てると思うです。

左派の人が嫌ってるかは知りませんが、現在日本において
「成長」というのはその人の所属する企業の「純利益」のことを
主として指しているはずで、マクロな意味の「成長」を嫌ってる
人はいないんじゃないかな。

左派というよりhttp://togetter.com/li/129651なのではないかと。経済と「持続可能性」が両立できないからホロコーストしてでも人口減らすことを選ぼうとしてる人々。

水野和夫氏のような民主党ブレーンが典型的だが、ヘタレ心情左派は、当然、資本主義への懐疑があるように思う。(成長戦略をいうようになって、政府の中でいごこち悪かったと思うが。)

1月17日のダイヤモンド・オンラインにも登場し、以下の予言をされている。

「・・2つ目の答えは、成長の次の概念をどう提示するかです。日本は明治維新で近代システムを取り入れて、わずか140年たらずで欧米が400年くらいかけて到達した水準に既に達してしまったということです。これまで「近代システム=成長」ということでやってきましたが、必ずしも近代システムは普遍的なものではありません。変えていかないといけないのです。 」

「アジアやアフリカの各国がドッグイヤーと言われるほど速いテンポで近代化をすると、今の想定通りに本当に中間層が生まれるのでしょうか。私はそれは難しいと考えています。資本主義は全員を豊かにする仕組みではないとだんだん分かってくるのが、これからの10年、20年なのでしょう。 」

ウォーラー・スティーンを典拠とする「近代社会システム」の行き詰まりという文明論が、資本主義を嫌悪する、日本の「左派」に、共感を得やすいということではないだろうか?

「成長の限界」あるいは、日本的に「足るを知る」というやつではないだろうか?「エコ」というものとの結びつきか?

GDPという数字の増加にすぎないものに、成長のような多義的な単語当てるのが筋悪

一般には、GDP(付加価値の国全体での総量)の伸びが経済成長と呼ばれています。つまり、注目しているのは「付加価値」です。純利益ですらありません。この付加価値という概念には、(付加価値を得るために)投入された、労働力の量とか、労働コストとか、利益の再分配のやりかた、といった概念は含まれておりません。これらは、別の指標で評価されるべきものであり、別の話です。したがって、経済成長自体は素直に喜べるはずなのですが、イメージ的にごっちゃになってしまっているのでしょう。

逆。GDP以外の指標もあわせて考えないと「素直に喜べ」ないというべき。GDPの増加はただの数値指標の増加にすぎないんで、それを「素直に喜ぶ」ようなことがイメージに囚われてるってこと。

>全員を一律に豊かにする

これも二元論(極論)ではないかと。社会主義の原理主義者のような。

ムダに寿命をすり減らすようなブラックな仕事をしなくても、慎ましく生きていける程度の所得の再分配機能があれば、それで幸せです。

>どうしても足らないものを政府がやればいい。

お金を持っている人が、再分配してくれないから、つまり、どうしても足りないから、お上が徴税権を行使して再分配をするのでしょう。

いったい誰と戦っておられるのでしょうか?

真・自由主義者さま

ソースのURLがあれば表示してくださいな

普通は「経済成長」という言葉を使う(前後でGDPの話をするなどから明らかに判断つく場合や、同じ文の2個目からは成長と略すことはあるにしても)ので、ブラック企業などが言うような『成長』と混同してという指摘は、核心から大きく外れた見方だろう。「経済成長」と言われてそれが苦難を乗り換える『人間的成長』のように思う人は少数派であろうし、また経済学教科書頭であっても、というかあるかこそきちんと「経済」成長という言葉を振り回すことは一切非難されるようなものではなかろう。

昔からそうでしょう。
彼らは日本の高度経済成長を否定していたし
バブルのときも早く潰れろといってて
潰れたときはこれで日本がよくなる、くらいの発言してます
清貧の思想ブームのときも真っ先に乗りました
ある意味、筋は通ってるんですよ

>ムダに寿命をすり減らすようなブラックな仕事をしなくても、慎ましく生きていける程度の所得の再分配機能があれば、それで幸せです。

残念ながらそれでは経済成長できないのではないでしょうか?
生産性の上昇に匹敵するよう欲望の方もどんどん大きくならないと掲載成長は難しいのでは?

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» 日本の左派なひとは「成長」が嫌いか? ─ 経済成長万能派が嫌いなだけでは? [ニュースの社会科学的な裏側]
労働問題の専門家の濱口氏が『何で日本の左派なひとは「成長」が嫌いか』と言うエントリーを書いている。曰く、日本語で言う「成長」と言う単語は、労働者に過剰労働を連想させるからだそうだ。紙屋高雪氏が「左派は成長が嫌いか?」でそれを部分的に否定している。しかし、昔の事は知らないのだが、成長が嫌いな左派は、実の所は経済成長万能派が嫌いなだけでは無いかと思う。... [続きを読む]

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