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2013年2月13日 (水)

リバタリアンのパラダイス:中国

サンケイの記事というところで、はじめからいささか皮肉含みではありますが、皮肉抜きに真剣な問題としてまずは読んでいただきたいですね。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130213/chn13021311030000-n1.htm(金持ちはますます金持ちに 相続税も固定資産税もなし 富豪に好都合な中国のシステム)

中国政府が昨年末までに提出すると約束していた所得分配改革案がようやく発表された。この改革案に盛り込まれた諸項目がすべて実施に移されれば、所得格差の問題は間違いなく解決に向かうだろう。とりわけ注目されるのが、相続税(中国語では遺産税)の導入について初めて言及したことだ。だが高所得者の反対を押し切って実現にこぎつけられるだろうか。

・・・だが、改革案の中で目標年次などをはっきりと定めている項目は意外と少ない。多くは項目を列記しただけで、実施時期や目標数字などはほとんど入っていない。中には単に「研究する」とのみ書かれた項目もある。どこまで実現できるかは極めて不透明といえよう。

その典型的な例が相続税である。改革案では単に、「適当な時期に問題を研究する」とのみ書かれている。

中国では従来、相続税や固定資産税のような資産税は一部を除いて導入されてこなかった。富裕層にとっては、こんなに好都合なことはない。中国の富豪ランキングをみると、創業者の財産を子息がそっくりそのまま引き継いでいるケースが少なくない。相続税がないからだ。また、富豪の多くは不動産分野に投資し、巨額の利益を得ている。これは住宅取得税や固定資産税といった資産税がないからであろう。

・・・それ以上に難しいのは相続税である。実際に導入されれば、所得格差是正の切り札になるのは間違いないが、とにかく改革案では「研究する」と書かれているだけだ。いつになったら実現するのか、皆目見当がつかない。高所得者からの反発は必至なので、よほどの覚悟がない限り、導入は難しい。

日本をはじめとする先進資本主義諸国の再分配制度を社会主義だ、共産主義だと、常日頃口を極めてののしっておられる、心正しきリバタリアンな皆様方にとって、真に心安らぐ資本主義のメッカは、共産党一党独裁でお金持ちが下らぬ民主主義から守られる中国であったようです。

まあ、くだらない「研究」は始まったようですが、上記記事からすると、少なくとも、当分の間は大丈夫でしょう。

リバタリアンのパラダイス、萬歳!

(追記)

同じサンケイから:

http://sankei.jp.msn.com/world/news/130214/chn13021411030000-n1.htm(大革命の前夜、反乱恐れる習政権)

中国では今、『旧体制と大革命』という本が広く読まれている。アレクシス・ド・トクビルという19世紀のフランス歴史家が書いた本で、その内容は、フランス大革命の特徴や原因に対する考察である。

・・・(大革命前の)フランスでは、貴族たちが憎むべき特権にしがみつき、人民の苦しみにまったく無関心で自分たちの独占的な利益の維持だけに汲々(きゅうきゅう)としていた。それが、「旧体制」につきものの「社会的不平等」をさらに深刻化させて大革命の発生を招いた。

 同じように、今の中国では貧富の格差が拡大して社会的不公平が広がり、階層間の対立が激化している。このような状況下では、「民衆の不平不満が増大して社会が動乱の境地に陥る危険が十分にある」というのである。

・・・どうやら中国のエリートたちがこの本を読んで連想しているのは中国での「革命」のことであり、彼らの心配事はやはり、フランス革命のような「大革命」の嵐がいずれ中国の大地で吹き荒れてくるのではないか、ということである。

なぜか、サンケイは中国を論評するときだけ熱心なソーシャル派になるようです。

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コメント

トクヴィルはアメリカを高評価したフランス人として有名ですから、産経の記事は頓珍漢な印象を受けます。リバタリアンの本質は庶民的なLeave me aloneであって中国の富裕層はむしろリバタリアンとは対称的な位置付けにあると思います。

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» 相続税の無い中国はリバタニアン天国と言えるか? [ニュースの社会科学的な裏側]
労働問題の専門家の濱口氏が「リバタリアンのパラダイス:中国」で、経済格差の是正政策が十分でない中国で人民の不満が高まっているのに、共産主義者であるはずの共産党が積極的に格差是正に乗り出さない事を指摘している。その趣旨はともかく、中国の税制自体は原理リバタニアンと言うわけでもない気がする。... [続きを読む]

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