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2013年2月19日 (火)

僕の記憶ではこれまでの白書ではこういうセンスはなかったように思います@出口の真っ正直インタビュー

ライフネット生命社長の出口治明さんの「出口の真っ正直インタビュー」というネット記事に、なんと昨年の厚生労働白書を執筆した若手官僚の三村国雄、入部寛のお二人が登場しています。

http://www.lifenet-seimei.co.jp/deguchi_watch/2013/02/post_92.html

130214_1

出口(以下、出): 「平成24年版厚生労働白書」の第一部をほとんどお二人でご執筆されたという話を伺いました。たくさん白書がありますが、今回のように執筆当時に20代、30代の方がほとんどを書くというのは、あまりないことではないですか?

三村(以下、三): 経済財政白書(旧・経済白書)などを作っている内閣府ではしっかりした体制で書かれると伺っていますが、厚生労働省は職員もそんなに多くないので、一人あたりの作業量は多くなります。確かに執筆は私たちが担当しましたが、テーマの構想や構成、執筆のスタンスなどについては、もちろん上司や幹部と何度も緻密に議論しましたし、最終段階では、細かい校正もお願いしてしまいました(笑)

入部(以下、入): 今振り返ると、執筆はかなりこじんまりとやっていました(笑)。旧厚生省が出していた厚生白書時代はもっとスタッフも多く、管理職が中心になって書くことが多かったようです。

出: 参考文献を見たときに、ロールズとかサンデルをあげておられて、僕の記憶ではこれまでの白書ではこういうセンスはなかったように思って、印象に残っています。

三: ロールズなどの理念・哲学的な議論を白書で取り上げたというのは、おそらく初めてです。今回は「社会保障を考える」というテーマなので、学生などの若い人にも世読んでいただこうと思いながら書きました。平成24年というのは社会保障と税の一体改革ということもあって社会保障全体についていろいろと話題になる中で、そもそも社会保障というのはどういうことなのかと。社会保障を考えるということは、どういう社会が人々にとって良い社会かと考えることが大切である、と思ったときに、例えばロールズという社会哲学者が社会とはこうあるべきだと言ったと。そういう視点も加味しつつ社会保障の今の制度やこれからのあり方を見つめていくのが大事ではないかということで紹介しました。

この白書については、本ブログでも繰り返し取り上げて、売り上げにいささか貢献したかも知れないと慰めていますが、世間への影響力ということでは、やはりライフネット生命社長の出口さんが高く評価したことは格段の影響があったと思います。

この鼎談でも、ある種のワカモノ論者がわざと言い立てる世代間格差の問題が取り上げられていますが、

出: もうひとつ、世代間格差の問題をきちんと書かれていますね。人間の社会というのは、お年寄りもいれば中年も若い人もいる、どんな社会にも老中青というのがあるわけですよね。「ある切り口でみたらアンバランスはあるけれど、高齢化の必然でもあるし、今の世代はすごく豊かな世界に生きているのですから、世代間の対立などは意味がないんですよ」といった趣旨のことを書かれていたところが印象に残っています。僕は会社も国家も全部同じだと思っているんですけど、会社で言えば60代の社員と20代の社員が喧嘩をしている、そのような状態で会社が発展するなんてありえないですよね。

入: その辺りはいろいろとご批判いただきましたし、若い人が執筆したと言われているけどウソじゃないかといわれたりもしたようです。しかし、実際のところ社会の成熟過程において、私的な扶養が社会的な扶養に置き変わっていく中で、我々若い世代はその分の負担が軽減されているということは、社会保障を考えるに当たって見過ごしてはならない点です。

上の写真を見れば分かるように、まさに若い人が執筆してます、って、それが論点じゃないか。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/24-7de8.html(『平成24年版厚生労働白書』は社会政策の教科書)

本日公表された『平成24年版厚生労働白書』は、第1部が「社会保障を考える」と題して、社会政策の根本論から説き起こして、福祉レジーム論や国際比較などを取り混ぜながら、社会保障改革の方向を検討する内容となっており、これはもう、そこらの凡百のろくでもない社会保障論もどきをちらりとでも読んでる暇があったら、これを教科書として熟読玩味した方が百万倍役に立つというものになっています。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-9073.html(ブックファースト新宿店で厚生労働白書フェア)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-b832.html(ライフネット生命出口社長の推薦書は・・・)

白書は、日本社会の長所として、「経済水準の高さ、就業率の高さ、教育水準の高さ、長寿社会を実現した質の高い保険医療システム」を挙げる一方で、日本社会の課題として「所得格差、男女間格差、社会的つながり、社会保障の安定財源確保(≒社会保障と税の一体改革)」を指摘している。白書の中では、このような認識に至る思考のプロセスが、数字・ファクト・ロジックで丁寧に語られているので、ぜひ一読してほしい。筆者は大変勉強になった。

ちなみに、この白書を酷評して自らの劣化の程度を露呈したこの方の文章も、ご参考までに。

http://blogos.com/article/46029/(劣化著しい厚生労働白書 - 鈴木 亘)

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コメント

世代間格差を当たり前のように前提するマクロ経済学者が多いようですが、そうでないマクロ経済学者もいます。
都立大の脇田茂「マクロ経済学のナビゲーター(第3版)」
p.127-128

「それは「世代間の不公平」と呼ばれる問題だね。たしかにこの面を強調する人もいるけれど、問題が多い。まず不公平を
・収益率で比較するのか、
・効用で比較するのか
という問題がある。たしかに同じ1万円を払ったとしても、これまでの世代が受け取る年金額と今後の世代の年金額は違うだろう。でもじゃあ古い世代が得られた効用はどうだろうか。」

「物質的に得られた効用は古い世代は少ないね。戦争体験までさかのぼらなくても、昔は狭い家で貧しい食事をしていたものだ。」

「もともと戦後日本はものすごいスピードで成長した。資産選択の面から言っても、例えば土地の価格は何十倍にもなったんだから、年金だって、ある程度増えて当然だ。第一、携帯もカラオケもない時代に年金が得だからと言って生まれたいのかい。」

「若い世代は給食で脱脂粉乳でも飲んでみろ、と言いたくなるね。」

少子高齢化になればどうしようもない。

子供が6人いれば一人3万仕送りすれば、18万になる

しかし子供が2人になれば・・・
仕送りをする方は支えきれないというし、貰う方は足りないという

仕送り金額をめぐって、もめるのは仕方ない。

世代間格差は自然現象なのか、人為的な現象化なのか?

あくまで、世間で問題になっているのは、人為的な側面です。生産人口の減少(人口オーナス)はわかっていた話なのに、それに備えて、年金をストックしておかなければならないのに、ストックをサボるどころか、それを別の用途に流用してしまったりして。こうなることが予想できていたのに、それに対応しなかったのは非難されて当然でしょう。

そもそも、年金の目的って世代間格差の解消ではありません。世代間格差を解消したいなら、タイムマシンで明治時代なり江戸時代なりに仕送りすれば良い。別に縄文時代でも構いませんよ。

年金の目的は、リタイア後の生活保障です。65歳までリアイアは許されないという支給年齢の引き上げというのは、これこそ本質的な明確な世代間格差です。この面から目をそらしてはならないでしょう。

後の世代も受益者だからというのは、建設国債の償還期間が長期であることの理由付けに使われますが、その理論を年金に適用するのはとんでもないです。過去の世代に感謝したいならば、前述のとおり、タイムマシンで明治時代なり江戸時代なりに仕送りすれば良いんです。

あと、損する人が反発するのは当然であり、揉めて当然です。JAL経営再建のとき、企業年金の支給額の減額にOBは強烈に反対しました。現役の社員より恵まれているにも関わらずにです。結局、反対したら企業年金そのものが無くなってしまうので、最終的には賛成したのですが。JALのOBにとっては世代間格差というのはどうでもよい話であり、一円でも多く年金が欲しかっただけなんです。

利害が衝突すると、揉めるのは当然であり、自然な話です。得する側は、「揉めるのは止そうよ」、とか、「そもそも揉めていない」というような、領土問題界隈で聞いたようなことを言うかもしれませんが。

年金の世代間格差問題というのは、揉めて当然、揉めてこそ健全なテーマだと思います。

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