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2013年2月 6日 (水)

第4回経済財政諮問会議民間議員提出資料

昨日報道された第4回経済財政諮問会議民間議員提出資料が、内閣府のHPにアップされています。

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2013/0205/shiryo_01.pdf

これを見る限り、日経新聞記者とは違って、一方的な妄想に基づいていると言うよりは、ある程度バランスのとれた認識に基づいた記述になっているようです。

「若者や女性等の働く機会の拡大、人的投資の拡大」というところでは、

若者・女性が活躍できる雇用の場を創造

雇用形態に関わりなく公平な社会保障制度・税制の構築

専門性の高い職種の人材育成のための学び直し支援、職業能力の評価・認定制度の拡充、電子化した世界最先端のジョブカードの仕組みの構築

幼児教育無償化の具体化、もう一段の待機児童対策の実行、女性の就労支援とあわせて男性の育休取得やワークライフバランスの推進

継続的な人的資本形成による労働生産性の上昇

人的資源を適切に育成・蓄積することを可能とする仕組み(学び直し、人材マネジメント等)

と、訳も分からずにどや顔で仕分けした民主党政権よりもまっとうな政策という面もあります。

その次の「持続的成長を牽引するための労働市場改革」が、昨日報じられた解雇規制の話にも関わる部分ですが、次のように、一応物事の筋道を踏まえた上での記述になっています。

正規雇用と非正規雇用という二元的な雇用システムではなく、地域や職務を限定した正社員や専門職型の派遣労働者など、「ジョブ型のスキル労働者」を創出することで、雇用形態間の行き来を円滑に行えるような環境整備に着手し、企業側からの「人材タイプの多様化」と個人側からの「働き方の多様化」の最適なマッチングができる、「多元的な雇用システム」を目指すべきである。

就業形態や労働者の属性にかかわらず、能力や仕事内容に応じた人事・処遇制度改革に継続的に取り組むべきである。その際、事業・産業構造転換に伴う労働移動等に対応するため、退職に関するマネジメントの在り方について総合的な観点から整理すべきである。同時に、処遇均衡、能力・成果賃金の実現を支える社会インフラとして、高等教育資金への支援、共働きのしやすい環境整備などに取り組むべきである。

「ジョブ型のスキル労働者」を創出することを前提として、あくまでも「事業・産業構造転換に伴う労働移動等に対応するため、退職に関するマネジメントの在り方」を検討するのであって、どこかの評論家諸氏のような「解雇自由」を謳っているわけではないことを確認しておく必要があるでしょう。そして、この「マネジメントの在り方」の検討には、当然EU共通のルールである集団整理解雇指令の手続規制が含まれるべきことも言うまでもありません。

ただ、とはいえ昨日の日経記事にも見られるように、もと文書の記述自体は物事の筋道を踏まえて慎重に記述されているとしても、それを鬼の首を取ったかの如くもてあそんで声高に叫びたがるある種の経済学者や経済評論家たちは、これをもって「先進国でもっとも厳しい正社員の解雇規制」を徹底的にたたきつぶすのだ!!好きなように解雇できないと会社はつぶれるんだぞ!!などという風にフレームアップする可能性はあり、というよりも結構高く、そういう変な話になっていかないように、きちんと指摘すべきは指摘していく必要は常にあるように思われます。

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