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2013年2月16日 (土)

スウェーデンの解雇法制

規制改革会議がいろいろ言い出したことを受けて、解雇法制に関する議論がまた活発化していくのだと思いますが、そうすると必ず一知半解さんや無知蒙昧さんがしゃしゃり出てきて、どや顔で「スウェーデンは解雇自由なんです」などとお馬鹿な台詞を繰り出すことがほぼ間違いなく予想されますので、今のうちに、誰でも使えるスウェーデンの解雇法制のまとめを載せておきます。

これはスウェーデン政府による英訳をもとに要約的に和訳したものです。

http://www.regeringen.se/content/1/c6/07/65/36/9b9ee182.pdf(Employment Protection Act (1982:80))

雇用保護法(SFS:1982:80)

(1) 雇用契約
 雇用契約は原則として期間の定めなきものとする(第4条)。
 ただし、業務の性質、臨時代替や訓練生、業務の繁閑、兵役、年金受給者については有期契約が可能(第5条)。6ヶ月以内の試用期間も可能。この場合、期限内に通知なければ期間の定めなき契約に移行(第6条)。

(2) 解雇
 解雇には客観的な理由が必要。被用者に他の労務を提供するよう使用者に要求することが合理的であれば客観的な理由は存在しない。営業譲渡はそれだけでは客観的な理由とならない(第7条)。
 解雇は書面で行い、被用者が不服の場合の手続を教示する(第8条)。使用者は解雇の理由を明示しなければならず(第9条)、原則として直接本人に行わなければならない(第10条)。

(3) 解約通知期間
 使用者及び被用者の解約通知期間は次の通り;勤続2年未満:1ヶ月、2年以上4年未満:2ヶ月、4年以上6年未満:3ヶ月、6年以上8年未満:4ヶ月、8年以上10年未満:5ヶ月、10年以上:6ヶ月(第11条)。
 解雇通知後、使用者が業務を命じなくても被用者は賃金その他の手当の権利を有する(第12条)。

(4) 有期雇用の雇止め通知
 有期契約の被用者は期間満了時に更新されないときはその1ヶ月前に通知を受けなければならない(第15条)。この通知は書面で行い、被用者が当該契約を期間の定めなきものである旨の確認又は第4条違反による損害賠償を請求する手続を教示する(第16条)。

(5) 即時解雇
 被用者が使用者への重大な義務違反をしたときは即時解雇することができる。これは通知の2ヶ月以上前に知られていた事実に基づくことはできない。ただし被用者の依頼により通知を遅らせた場合はこの限りでない(第18条)。即時解雇通知は書面で行い、被用者が不服の場合の手続を教示する(第19条)。

(6) 一時解雇期間中の賃金その他の手当
 一時解雇期間中の被用者は同一の賃金その他の手当の権利を有する(第21条)。

(7) 整理解雇の優先順位
 過剰人員を理由とする解雇の場合、その順位は勤続年数によって決める。勤続年数が同じ時は年齢の高い者を優先する。配転により継続雇用が可能なときは、配転後の業務に資格を有する被用者を優先する。ただし使用者は将来の事業に重要な被用者を2人まで別枠とすることができる(第22条)。

(8) 再雇用の優先権
 過剰人員により解雇された被用者は再雇用の優先権を有する。過剰人員により雇止めされた有期被用者も同じである。再雇用の権利は解雇の日から9ヶ月間有効である(第25条)。再雇用の順位は勤続年数によって決める。勤続年数が同じ時は年齢の高い者を優先する(第26条)。

(9) 交渉等
 労働協約を締結した使用者が有期契約を締結したときは直ちに被用者組織に通知する。ただし1ヶ月未満の契約はこの限りでない(第28条)。
 雇用(職場の共同決定)法第11条から第14条までは、過剰人員を理由とする解雇、一時解雇及び再雇用にも適用する(第29条)。
 使用者が即時解雇をしようとするときはその1週間前に、被用者の個人的理由による解雇をしようとするときはその2週間前に、本人に直接通知する。被用者が労働組合員であるときは、被用者組織にも通知する。通知1週間以内に当該被用者及び被用者組織が協議を求めたときは、協議終了まで解雇できない(第30条)。
 有期契約の雇止めの時もその属する被用者組織に通知し、求められれば協議を行う(第30a条)。
 試用期間中に又はその満了により期間の定めなき契約に移行せずに雇止めしようとする使用者は、その2週間前に通知する。被用者が労働組合員であるときは、被用者組織にも通知し、求められれば協議を行う(第31条)。
 他の者が再雇用の優先権を有するときに被用者を雇い入れようとする使用者は、まず被用者組織を交渉する(第32条)。

(10) 定年退職
 被用者は67歳に達した月末まで継続雇用される権利を有する(第32a条)。67歳に達した月末の1ヶ月前に書面で通知する。67才に達した被用者は1ヶ月以上の解雇通知期間はなく、優先権もない(第33条)。

(11) 解雇通知又は即時解雇等の効力に関する紛争
 客観的な理由なき解雇通知は被用者の訴えに基づき無効とされる。ただし、優先順位違反というだけでは適用されない。解雇通知の効力について紛争が生じた場合、最終判決まで雇用は終了せず、被用者はその間の賃金その他の手当の権利を有する。最終判決までの間、裁判所は解雇通知期間の終了時又はその後に雇用が終了するものとすることができる(第34条)。
 即時解雇についても同様である(第35条)。
 第4条に反して期間を定めた雇用契約は被用者の訴えに基づき期間の定めなきものとされる。この場合も最終判決まで雇用は終了しない(第36条)。
 裁判所が解雇通知又は即時解雇を無効と最終判決したときは、使用者は被用者を業務から離すことはできない(第37条)。

(12) 損害賠償
 本法に違反した使用者はそれに起因する損害を賠償する責めを負う。第11条の解約通知期間に違反した被用者はその損害を賠償する責めを負う(第38条)。
 使用者が、解雇通知や即時解雇が無効である又は有期契約が期間の定めなきものであるという裁判所の判決を拒否したときは、当該雇用関係は解除されたものと見なす。この場合、使用者は被用者に次の損害賠償を払わなければならない。勤続5年未満:6ヶ月分、5年以上10年未満:24ヶ月分、10年以上:32ヶ月分(第39条)。

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この議論になるたびに、お願いした責任を感じずにはいられない感じではあります、

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