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2013年2月19日 (火)

ブラック企業鼎談@『国公労調査時報』

603国公労連の『国公労調査時報』3月号が、ほぼ全ページを費やして、ブラック企業特集を組んでいます。

http://kokkororen.com/news/view.php?id=384

出ているのは、今やミスターブラック企業(あまりにもミスリーディングですみません)ことPOSSEの今野晴貴さんに、JMIU書記長の三木陵一さん、国公労連書記長の岡部勘市さんの3人です。

おもしろいのは3人がそれぞれ話した後の座談会です。三木さんが今野本の第7章の日本型雇用とブラック企業の関係のところに疑問を呈したり、会場からの質問に、こういうのがあったりします。

日本型雇用の話に戻して恐縮ですが、研究者の中には日本型雇用の正社員の特徴はメンバーシップ型で、ヨーロッパがジョブ型で産業別だから企業ごとの差別もなく、非正規の賃金差別もない。ブラック企業をなくしていくといった場合、労働組合が規制力を高めて年功賃金に戻せば済む問題ではないというような指摘についてはどう考えればいいでしょうか。

そんな単純な言い方をしている人はいないと思いますが(笑)、それは是非、自分の頭でじっくりと考える必要のある問題だと思いますよ。

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コメント

濱口先生、はじめまして。

いつも雇用問題について勉強させて頂いております。

基本的に雇用がもっと流動化(≠漂流)すれば
おかしな企業に留まり続ける人は少なくなる
と思うんですが・・・。

メンバーシップ云々は置いておいて、某国営ドラマ
の唐沢敏明氏のセリフ
「きみは途中入社だから~」
みたいな状況では100年たっても変わらないかも
知れませんね。

三木さんの力点は、「労働組合の規制力を無視するな」という一点につきていたと思います。

雇用システムが、一定の「合意」の枠内に収まっていくとしても、そこまでの過程は、確かに主体的な争いによって敷き詰められていますから、彼のいうことには一理あると思いました。

その意味で、私は労使関係の喪失たる現状のブラック企業問題と、従来型企業での無限労働の問題は、似て非なる問題だと思います。

日本型雇用の長時間・過酷労働は、社会的に非難されるべきものであっても、「ブラック企業」とは違うと思うのです。

それはまさにその通りで、私も、今までの日本型雇用システムが、西欧型とは異なったもう一つの労使妥協の仕組みであるということを強調しているんですが、どうもある種の方からは、日本型雇用システムをそもそも悪いものとして批判しているようにうけとられる傾向があるんですね。

「社会的に非難」というのもなかなか微妙で、かつては社会の多数派にとっては非難されるべきものではなかったわけです。むしろ、労働者やその家族からすれば、望ましい安定と柔軟性の均衡を実現していたわけで、それを確認するところから、それの逸脱形態としてのブラック企業の問題も浮かび上がってくるはずなので、上のような受け取られ方は正直頭を抱えます。

ただし、「労使妥協」だから何でもいいという議論は、もはや通用しないという認識も重要でしょう。半世紀前の昭和のオヤジ労働者にとって望ましかった労使の妥協点が、今日の男女労働者にとっても同様に望ましい妥協点であるわけではないのです。上の「社会的非難」とはそういう次元のことです。

そういう複数の「労使妥協」の間の望ましさの問題と、そもそも労使妥協ではなくそこから逸脱した一方的搾取であるものとを区別すべきということを、きちんとその次元を分けて議論する必要があります。

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