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2013年1月24日 (木)

集団的労使関係システムの見直しに向けて

『労基旬報』1月25日号に掲載した「集団的労使関係システムの見直しに向けて」です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo130125.html

最近、非正規労働問題の解決の道筋として集団的労使関係システムに着目する議論がいくつかなされています。たとえば厚生労働省の「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」が2012年3月にとりまとめた報告書は、「職務の内容や責任の度合い等に応じた公正な処遇」を求めた上で、「・・・労働契約の締結等に当たって、個々の企業で、労働者と使用者が、自主的な交渉の下で、対等の立場での合意に基づき、それぞれの実情を踏まえて適切に労働条件を決定できるよう、集団的労使関係システムが企業内の全ての労働者に効果的に機能する仕組みの整備が必要である。」と、やや踏み込んだ提起をしています。

ここで、「集団的労使関係システム」に注がつけられ、「集団的労使関係システムにおける労働者の代表として、ここでは、労働組合のほか、民主的に選出された従業員代表等を想定している」と書かれています。ここには、これまでほとんど議論の対象になってこなかった集団的労使関係システムを通じた非正規労働問題の解決という道筋が垣間見えているともいえます。

こうした問題意識は、たとえば2011年2月の「今後のパートタイム労働対策に関する研究会」報告書でも、待遇に関する納得性の向上に関わって「このため、ドイツの事業所委員会やフランスの従業員代表制度を参考に、事業主、通常の労働者及びパートタイム労働者を構成員とし、パートタイム労働者の待遇等について協議することを目的とする労使委員会を設置することが適当ではないかとの考え方がある」と、かなり積極的姿勢に踏み込んでいます。もっとも、その直後に「ただし、日本では、一般的には労使委員会の枠組みは構築されていないことから、パートタイム労働者についてのみ同制度を構築することに関して検討が必要となろう」とあるところからすると、この問題は集団的労使関係システム全体の再検討の中で検討されるべきという姿勢のようにも見えます。

私も2009年に刊行した『新しい労働社会』(岩波新書)の中で「非正規労働者も含めた企業レベルの労働者組織の必要性」を述べていたところですが、最近遂に労働法の標準的テキストである菅野和夫『労働法第十版』(弘文堂)においても、「特に、正規雇用者と非正規雇用者間の公平な処遇体系を実現するためには、非正規雇用者をも包含した企業や職場の集団的話し合いの場をどのように構築するかを、従業員代表法制と労働組合法制の双方にわたって検討すべきと思われる。」と書かれるに至りました。

今後、様々な雇用形態にある者を含む労働者全体の意見集約のための集団的労使関係法制の在り方に関して、法政策的な検討が積極的に進められていくことが期待されます。

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