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2013年1月18日 (金)

日本の派遣法に対するILO勧告は何を求めているのか?

2013_01『情報労連REPORT』1/2月号の「労働問題ここがツボ!」は「日本の派遣法に対するILO勧告は何を求めているのか?」 です。

http://www.joho.or.jp/doc/report/

日本のうち向けのロジックとそと向けのロジックがとんでもなくかけ離れていることは、労働問題では実はよく見られることですが、派遣労働をめぐる国内向けのロジックと国際向けのロジックの乖離ぶりもすさまじいものがあります。

こういうあたりにマスコミもきちんと目を向けていただけると良いのですが・・・。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/johororen1301.html

2012年3月、国際労働機構(ILO)はILO181号条約違反申立に関して日本政府に勧告を行いました。これは、全国コミュニティユニオン連合会の申立に基づくもので、昨年末に刊行された『労働法律旬報』1780号にその邦訳とともに、これに関わるシンポジウムの記録や諸論文も掲載されています。その一つ、同連合会会長の鴨桃代さんの「何としてもILOの日本政府に対する勧告を活かし、『登録型派遣』の禁止を実現したい」というタイトルからは、あたかもILOが日本政府に対し登録型派遣の禁止を要求しているように読めます。実際、同誌の特集はそういう認識を前提にして編集されているようです。

しかし、ある程度先進諸国の労働事情に通じた人ならば、こういう疑問を抱くはずです。ILO181号条約は登録型派遣を禁止していないし、同条約を批准している欧州諸国も登録型派遣を禁止していないのではないか。ドイツはかつて常用型派遣に限定して登録型を禁止していたが、ハルツ改革でそれを撤廃したのではないか。もしILOが「登録型派遣を認めているから」という理由で日本政府に勧告を行ったというなら、これら欧州諸国にも行うべきではないか。もし勧告していないとしたら、それは人種差別ではないのか?と。

幸いにして、ILOはそういう人種差別的な勧告を行ったわけではありません。ILOは登録型派遣を禁止せよなどと求めていないからです。つまり、上記タイトルはミスリーディングなのです。ILOに申し立てられたのは伊予銀行(いよぎんスタッフサービス)事件で、13年間継続雇用されてきた派遣労働者が、上司のハラスメントに対して謝罪を求めたところ雇止めされたという事件です。勧告の文章は入り組んでいて大変わかりにくいのですが、要するに同事件の最高裁判決が「雇用の継続を期待する派遣労働者の権利を否定」していることが、同条約1条1項の「雇用」の概念や5条1項の差別禁止規定との関係で問題とされているようです。

その理由は、原審の高裁判決が極めてあからさまに語っています。「同一労働者の同一事業所への派遣を長期間継続することによって派遣労働者の雇用の安定を図ることは、常用代替防止の観点から同法の予定するところではない」、「Xの雇用継続に対する期待は、派遣法の趣旨に照らして、合理性を有さず、保護すべきものとはいえない」。つまり、日本の労働者派遣法の金科玉条とされている常用代替防止原則こそが、直接雇用の有期労働者であれば認められうる雇用継続期待による雇止めからの保護を派遣労働者から奪っているわけです。とすれば、解決策はただ一つ、派遣労働者を直用有期労働者に比べて差別せよと命じている常用代替防止原則の撤廃でなければなりません。ところが上記シンポジウムの最後に、派遣労働ネットワーク理事長の中野麻美さんは常用代替防止原則を改めて確認すべきだと主張しているのです。

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