私はこんなに大変なのに頑張っているんだから・・・
昨日紹介した『POSSE』17号の一番特集は生活保護ですが、そのいろんな記事のメッセージを集約すると、巻頭の桐野夏生さんのインタビュー記事のこの言葉になるのかも知れませんね。
川村: 生活保護バッシングは魔女狩りみたいな状態になっていて、背景にはおそらく「自分はこんなに必死に働いていてキツイのになぜ生活保護を取らせるんだ」という妬みのようなものがあるのだと思います。
桐野: そうなんですよね。それは妬みです。私はこんなに大変なのに頑張っているんだから、どうしてお前は頑張れないんだという発想。人それぞれの事情があるのにそれが分からない。日本の悪い面、「悪平等」主義です。軍隊のいじめもそう。自分たちも二等兵の時にひどい目にあったから、お前達もひどい目に遭わなければ、これは平等ではないって言うような。・・・
そして、ものごとの「伝わらなさ」についてのこの言葉。
桐野:たぶん私の年代って『POSSE』に書いてあるようなことを言ったら、信じられないって言う人がたくさんいると思います。たぶん、皆さん、お子さんたちも無事に結婚して、お孫さんも生まれて、そこそこ豊かな暮らしをしているわけですから。そのお孫さんたちも「勝ち組」の子どもと思われているのかも知れないけれども、いま、こんな状況になっていますよ、あなた達のお孫さんたちは、これからこんな世の中で暮らしていくんですよ、といったらみんなとてもびっくりすると思います。それは若い人が声を大きくしていかないとわからない面があります。
世代を超えたメッセージの必要性、という難しい宿題ですね。
« 連合総研「日本の賃金-歴史と展望-」調査報告書 | トップページ | 非正社員ほど権利を知らない »
コメント